研究シーズ2016情報基盤科学

学術情報ネットワーク(SINET)とクラウドを活用した産学連携

漆谷 重雄アーキテクチャ科学研究系 教授

研究分野超高速ネットワーク/SDN/クラウド連携

研究背景・目的

SINETは大学や研究機関等のための研究教育用ネットワークです(加入機関数:800以上、ユーザ数:300万人以上)。平成28年度からは、全国的な100Gbps回線の導入、各拠点間のフルメッシュ接続による遅延の最小化、多層レベルでの冗長化など、性能および信頼性を大幅に強化した新しいネットワーク(SINET5)に移行します。

SINETでは、学術特有の利用形態(実験施設の共同利用、各研究教育分野での連携力強化、世界各国との国際連携、オープンな学術情報の発信やビッグデータの収集等)を考慮した多様なネットワークサービスに加え、クラウドと連携した高度なサービスの展開が期待されています。

本研究では、SDNやNFV等の新しい技術の適用やSINET直結のクラウドリソース(商用15社以上)の活用等により、革新的なサービスの実現を目指します。

研究内容

SINET上での実用化を目標とした革新的なサービス制御技術を研究しています。システムベンダとの連携によるスペシャルコードの活用とそれらを制御するNII独自機能の開発により、SINET上で多様なサービス(世界初のL1オンデマンドサービスなど)を展開してきました。

具体的には、SINETは転送レイヤの機能として、マルチレイヤ(L0~L3+仮想レイヤ)、各種VPN、QoS、マルチキャスト等を有しており、NIIではリソース(帯域、VPN等)のオンデマンド制御機能、ユーザ連携用API、帯域保証型データ転送ソフトウェア等を開発し、実ユーザに提供しています。また、多様なサービスを支える高度な高信頼化機能の導入により、平成23年の大震災時にも各サービスの安定提供を実現しています。今後は、先端的なクラウド機能やSDN・NFV機能等を活用したサービス制御技術を研究開発し、より高度なサービスの提供を目指していきます。

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産業応用の可能性

  • 各連携企業は、SINET、SINETノードを設置しているデータセンタ、各種商用クラウド環境を利用可能
  • 各連携企業は、SINETを制御するためのAPI等をNIIと連携して開発し利用することが可能
  • 各連携企業は、新サービスのための機器類やソフトウェア等の持ち出しだけで、経済的にカット&トライが可能
  • 各連携企業は、将来的にSINETを利用して新サービスを全国に展開可能(ユーザとの直接契約を想定)

研究者の発明

  • 特許第5682932号(共願):制御サーバ、制御方法及び制御プログラム
  • 特許第4806466号(共願):パス管理制御方法、パス管理制御プログラム、パス管理制御装置およびパス管理制御システム ほか
連絡先

漆谷 重雄[アーキテクチャ科学研究系 教授]
urushi[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

関連リンク

漆谷 重雄 - アーキテクチャ科学研究系 - 研究者紹介

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