研究シーズ2015情報基盤科学

ディペンダブルプラットフォームによる次世代統合型ECUの実現とその応用

米田 友洋アーキテクチャ科学研究系 教授

研究分野ディペンダブル設計/非同期式設計/低電力設計

研究背景・目的

車載制御系システムでは、さまざまなタイプのECU(Electronic Control Unit)が多数混在し分散的に配置されていますが、センサ・アクチュエータとECUの対応が固定であるため、ECUの能力が余っても他に流用できないばかりか、故障時にはそれが受け持つ機能の喪失につながります。そこで、ネットワークに直接つながるインテリジェントセンサやアクチュエータの使用を前提とし、各ECUを統合した集中型ECUをメニコアシステム上に実現することが考えられています。本研究では、このような次世代統合型ECUをディペンダブルな機構を持つネットワークオンチップアーキテクチャを用いて高信頼に実現することを目的としています。

研究内容

ネットワークオンチップ(NoC)は、チップ内にネットワークを構築し、コア間の通信をパケット化したもので、スケーラブルかつフレキシブルなメニコアシステムを実現する一手法です。このようなNoCに基づく統合ECUのアプローチは、いくつかのヨーロッパのプロジェクトでも検討されています。私たちは、さらに複数のNoCをチップ間リンクにより接続した「マルチチップNoC」を提案しています。マルチチップNoCは、小さく安価なNoCベースチップを複数個接続するだけで、必要とされるさまざまな構成を実現可能ですし、チップレベル冗長性を有し、チップ故障にも耐性を持つという利点を持ちます。チップ内のルータやリンクの故障には、それらを動的に避けてパケットを配送する、ディペンダブルルーティングを実現していますし、CPUコア故障に耐えるために、二つのコアによる2重実行・比較による故障検出と、一時的な3重化実行による動的コアペア再構成を実現しています。

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産業応用の可能性

  • 非冗長のSimulink記述から冗長化コア上へのタスク割り当てアルゴリズムの実現
  • 2重化実行・比較や一時的な3重化実行を自動的に行うスケジューラの実現
  • リアルタイムにECUの評価を可能とする簡易プラントモデルを用意
  • 高度な実アプリケーションを実際に動作させ、評価できる評価キットを用意

研究者の発明

  • 特願2013-060616:半導体チップ、半導体チップ接続システム
  • 特願2013-134719:フリップフロップ回路 ほか
  • 特許第5582472号:LSI演算装置及びその故障検出方法
  • 特許第5063780号(共願):有限オートマトンのメモリ内データ構造、この構造のデータが格納されたメモリ、このメモリを用いた有限オートマトン実行装置 ほか
連絡先

米田 友洋[アーキテクチャ科学研究系 教授]
http://www.nii.ac.jp/faculty/architecture/yoneda_tomohiro/

関連リンク

米田 友洋 - アーキテクチャ科学研究系 - 研究者紹介

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