研究背景・目的
近年、デジタル教科書や電子黒板、学習アプリ、Learning Management System (LMS) などに代表されるeラーニングシステムの普及など、教育環境のICT化が進んでいます。情報機器を利用して学習をすることで、学習時間や問題の解答時間などの学習状況が、ログデータ(学習ライフログ)としてサイバー空間に蓄積されます。これにより、これまでは把握することが困難であった学習者の情報が利用可能になってきています。
特に今後は、学校や家庭、塾などでの学習の記録がサイバー空間に蓄積されることが期待されます。これらの情報が全て紐づけされることによって、学習者個々について非常に豊富な情報を得ることができます。また、これらの情報を統合して学習者の学習状況を診断し、学習者に対してフィードバックをすることで、生徒一人一人に最適な学習支援が可能になります。
しかし、学習ライフログを収集するための仕組みの開発や、学習ライフログを統合して学習診断を行う手法の開発など、解決しなくてはならない問題が多く残されています。私たちは、様々な学習ライフログを活用して学習支援を行うための方策について研究を行っています。
研究内容
現在、学習ライフログ取得のための基盤づくりや、認知診断テストの開発を行っています。学習ライフログは学習者の特性を知るのに有用ですが、何を身につけ、何ができるようになったかを診断する上でテストは欠かすことができません。
学習ログ収集の基盤づくり
Moodleを利用して、様々な学習ライフログを収集するためのシステムを開発しています。
認知診断テストの開発
認知診断テストとは、ある学習内容を理解する上で必要な認知技能・知識を測定するためのテストであり、技能・知識の習得度を詳細に推定することができます。
学習診断手法とフィードバック法の考案
学習ライフログと認知診断テストで得られた情報を統合し、学習診断を行う手法について検討しています。また、診断結果の効果的なフィードバック法の検討も行っています。
産業応用の可能性
- 認知診断テストを応用した学力テスト、適性検査などの開発・商品化
- eラーニング、学習アプリへの認知診断テストの組み込み
連絡先
孫 媛[情報社会相関研究系 准教授]
http://www.yuan.nii.ac.jp/
yuan[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください