研究シーズ2015知能システム科学

仮想世界で知能ロボットと対話社会的知能発生学シミュレータSIGVerse

稲邑 哲也情報学プリンシプル研究系 准教授

研究分野知能研究/ロボットシミュレータ/ヒューマンインタフェース

研究背景・目的

社会で役に立つロボットを研究するには、人間と対話をする知能の研究開発が重要です。しかし、実際の身体を作る時間的・予算的コストが大きく、知能研究が進まない現状があります。そこで、シミュレータの中で人間と社会的・身体的対話が可能なロボットシミュレータを構築しています。

社会的知能発生学シミュレータSIGVerseとは、人間と知能ロボットの来るべき共存社会をデザイン・検証するためのオープンなシミュレータプラットフォームです。複数のユーザが設計した知能エージェントをインターネット経由で仮想環境の中に投入し、仮想世界の中で互いにインタラクションさせたり、現実世界の人間と対話することが可能です。昨年から知能ロボットの競技会RoboCup@Homeのシミュレータとしても使われています。大規模な施設や研究室でなくても、ロボットの知能研究へ参入可能な環境を提供します。

研究内容

現在このシミュレータを使って以下のような研究を進めています。

  • マルチドライバークライアント対応のITSドライブシミュレータ
  • 人間の自然言語教示によるロボットの場所概念・シンボル獲得
  • 動作と言語の指示によるスポーツ初心者へのコーチングシステム
  • ロボットが道具の使い方を学習するためVR経由で人間からスキルを教わるシステム
  • ヒューマノイドロボットの遠隔操縦システムにおけるユーザ適応学習システム
  • 幻肢痛・片麻痺患者への視覚誘導型リハビリテーションシステム
  • ジェスチャ・言語の理解を伴う知能ロボットの競技会(RoboCup@Home) シミュレータの開発

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ヘッドマウントディスプレイとKinect センサ等による没入型インタフェース

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VR内における人間アバターとロボットの対話実験の様子

産業応用の可能性

  • 幻肢痛(交通事故などで突然四肢(手足)を失ってしまい、無いはずの四肢に激痛を感じる症状)のリハビリテーションとして、VR内に仮想の四肢を提示するシステムへの応用
  • 一般のユーザがインターネット上のゲームアプリ感覚で本システムに接続し、人工物/ロボットの性能評価に貢献可能

研究者の発明

  • 特許第5177667号(共願):車両用空調装置及びその制御方法
  • 特許第5224280号(共願):学習データ管理装置、学習データ管理方法及び車 両用空調装置ならびに機器の制御装置 ほか
連絡先

稲邑 哲也[情報学プリンシプル研究系 准教授]
http://researchmap.jp/inamura/
inamura[at]nii.ac.jp ※[at]を@に変換してください

関連リンク

稲邑 哲也 - 情報学プリンシプル研究系 - 研究者紹介

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