研究シーズ2014ソフトウェア科学

大規模な実用に耐えうる双方向変換基盤技術とソフトウェア進化

胡 振江アーキテクチャ科学研究系 教授

研究分野双方向変換支援環境/システムの相互運用機構/モデルコードの共進化

研究背景・目的

ソフトウェアが、その保守や、その仕様の変更と使用環境の変化に追随して進化できることは極めて重要ですが、原理的にも技術的にも困難な課題です。この課題を解決するために、ソフトウェアの開発プロセスを発展的なモデルとして定式化しなければなりません。本研究は、双方向モデル変換言語に基づく発展的ソフトウェア開発のための新しい開発環境の構築を目的とします。この手法は、システムの企画から、要求分析、仕様分析、方式設計、詳細設計、そして実装にいたる多段階の開発プロセスにおける成果物をモデルとして、ソフトウェアの開発ステップを双方向モデル変換で表現します。これにより、あるモデルに加えた変更を正しく他のモデルに伝播し、システムの一貫性を保証できます。

研究内容

本研究では、双方向モデル変換に着目し、右図のように、双方向モデル変換言語を導入することで、各段階のモデル修正(進化)を正確に他のモデルに伝播し、システムの一貫性を保証する双方向モデル変換によるソフトウェア開発の環境を実装し、構築しています。

これまで木構造データなどの非循環的データ構造のみ対象とされてきた双方向変換の研究に対して、我々は世界で初めてグラフ(モデル)を対象とする双方向変換の研究に着手し、実現してきました。また同時に、変換の前後におけるグラフスキーマを利用したデータの型検査技術の研究も行なってきました。そしてそれらを基に、世界初の双方向グラフ変換言語UnQL+を提案・実現するとともに、それに基づいた双方向グラフ変換開発環境GRoundTramを構築してきました (http://www.biglab.org/)。

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産業応用の可能性

  • システムの自動更新システム
  • データの共有と同期
  • モデルとコードの共進化
  • ソフトウェアシステムの開発過程の一貫制の保持
連絡先

胡 振江[アーキテクチャ科学研究系 教授]
http://www.prg.nii.ac.jp/

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