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情報学プリンシプル研究系 教授・主幹
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ゲノムを要に新たな学術分野を拓く
急速に進む生命科学と情報学の融合
ヒトの全遺伝情報を解析しようという「ヒトゲノムプロジェクト」が発足した1980年代末、日本もこの国際プロジェクトに参画しました。それから14年後の2003年に、ヒトゲノムDNAの最初の配列解析が終了しました。その後も、実験装置や解析技術の著しい進歩は続き、ゲノム解析はヒト以外の脊椎動物や昆虫、植物、菌類、細菌などさまざまな生物へ広がっています。そして、ゲノム科学は構造決定を目的とする時期を過ぎ、ゲノムに書かれた生物学的な意味を抽出する時代へと移行しました。そのため、ゲノム構造に関するデータ量が急増を続けるだけではなく、ゲノム間の相互作用や関係を記述するデータベースも急増しています。
そういった中、もはや情報学なしに生命科学の研究は不可能であり、生命科学と情報学の融合が急速に進んできています。とはいえ、異なる分野間で意思の疎通を図ることは容易ではありません。そこで、生命科学と情報学の間、関連する他分野との間、さらには一般との橋渡しをしようというのが、私がNIIで取り組んでいることです。換言すれば、「科学コミュニケーター」ということになるでしょう。
最新の生命科学をわかりやすく伝える
では、具体的に、私が取り組んでいる内容の一部を紹介しましょう。
現在ゲノム科学研究は、構造情報を決めるという点だけに絞っても、医学や植物学、動物学などの実験系科学の研究者と、データベースや知識処理などの情報系科学を専門とする研究者のしっくりとした協力関係が非常に重要な役割を果たしています。ゲノムの構造情報は公共のデータベースに登録され、誰でも無料で自由に利用できるようになっています。工学や農学、薬学などの研究者の中にも、ゲノム情報を使って研究や開発を行っている人が多く、彼らにとってもゲノムデータベースは不可欠な研究資源です。同じ情報・システム研究機構の国立遺伝学研究所とも協力し、ゲノム情報を中心としたデータセントリックバイオロジーとでも呼ぶべき新しい分野の開拓を目指しています。
一方、「日本語バイオポータル」という科学コミュニケーションサイトも作成しています。現在、生命科学は日進月歩で進んでおり、中学校や高等学校で教えている生物学と最先端の研究内容には大きなギャップがあります。現在の生物学は、生命現象というものは物理学や化学といった自然科学の原理を外れるものではないと考え、生命現象を、生物を構成している分子の働きから説明しようとする分子生物学が大きな比重を占めています。そこで、社会的に注目を集めるような最新の生命科学のテーマを材料に、このサイトを通してできる限りわかりやすい形で公開することで、一般の人たちに最新の生命科学の成果を伝えたいと考えているのです。
(取材・構成 山田久美)
ヒトの全遺伝情報を解析しようという「ヒトゲノムプロジェクト」が発足した1980年代末、日本もこの国際プロジェクトに参画しました。それから14年後の2003年に、ヒトゲノムDNAの最初の配列解析が終了しました。その後も、実験装置や解析技術の著しい進歩は続き、ゲノム解析はヒト以外の脊椎動物や昆虫、植物、菌類、細菌などさまざまな生物へ広がっています。そして、ゲノム科学は構造決定を目的とする時期を過ぎ、ゲノムに書かれた生物学的な意味を抽出する時代へと移行しました。そのため、ゲノム構造に関するデータ量が急増を続けるだけではなく、ゲノム間の相互作用や関係を記述するデータベースも急増しています。
そういった中、もはや情報学なしに生命科学の研究は不可能であり、生命科学と情報学の融合が急速に進んできています。とはいえ、異なる分野間で意思の疎通を図ることは容易ではありません。そこで、生命科学と情報学の間、関連する他分野との間、さらには一般との橋渡しをしようというのが、私がNIIで取り組んでいることです。換言すれば、「科学コミュニケーター」ということになるでしょう。
最新の生命科学をわかりやすく伝える
では、具体的に、私が取り組んでいる内容の一部を紹介しましょう。
現在ゲノム科学研究は、構造情報を決めるという点だけに絞っても、医学や植物学、動物学などの実験系科学の研究者と、データベースや知識処理などの情報系科学を専門とする研究者のしっくりとした協力関係が非常に重要な役割を果たしています。ゲノムの構造情報は公共のデータベースに登録され、誰でも無料で自由に利用できるようになっています。工学や農学、薬学などの研究者の中にも、ゲノム情報を使って研究や開発を行っている人が多く、彼らにとってもゲノムデータベースは不可欠な研究資源です。同じ情報・システム研究機構の国立遺伝学研究所とも協力し、ゲノム情報を中心としたデータセントリックバイオロジーとでも呼ぶべき新しい分野の開拓を目指しています。
一方、「日本語バイオポータル」という科学コミュニケーションサイトも作成しています。現在、生命科学は日進月歩で進んでおり、中学校や高等学校で教えている生物学と最先端の研究内容には大きなギャップがあります。現在の生物学は、生命現象というものは物理学や化学といった自然科学の原理を外れるものではないと考え、生命現象を、生物を構成している分子の働きから説明しようとする分子生物学が大きな比重を占めています。そこで、社会的に注目を集めるような最新の生命科学のテーマを材料に、このサイトを通してできる限りわかりやすい形で公開することで、一般の人たちに最新の生命科学の成果を伝えたいと考えているのです。
(取材・構成 山田久美)

