中国の図書館情報関連政策と制度 Current Status on Library and Information Policy in China 金 容媛(KIM Yong Won) 駿河台大学文化情報学部助教授
1. はじめに
2. 中国の図書館事情
3. 中国図書館界の思想的基盤
4. 中国の図書館行政および図書館関連法
5. 中国図書館学会(China Society for Library Science)
6. おわりに
1. はじめに
中国と日本とは歴史的、地理的、文化的な面で類似性が多いが、現代中国がマルクス・レーニン主義と毛沢東思想を中心とした社会主義共産体制であることから体制や理念など異なる面も多い。このような中国に対する関心は政治・経済など多様であるが図書館情報分野に関しての紹介・研究は十分でないと言える。中国の図書館情報関連政策に関しては他分野の中国研究と同様、関連資料へのアクセスが困難であり、また具体的な論議も少ない状況である。1996年8月25日から9月7日まで2週間、「海外における日本情報の需要と供給に関する研究」文部省科学研究費補助金国際共同研究(課題番号07044017)の一環として、学術情報交流に関する中国の状況調査を目的として、中国を訪問した。北京で開催されたIFLA(国際図書館連盟)の年次大会(8月25日―31日)と武漢で開催された国際会議(International Symposium on Information Resources and Social Development 9月3日―6日)に参加、中国のみならず世界各国からの図書館情報関連者と意見を交換する機会を得た。また会議参加中に中国国家図書館、北京大学図書館および信息管理系(旧図書館情報学系)、清華大学図書館、武漢大学図書館および図書情報学院などを見学し、中国の図書館情報関連の専門家と教育担当者と接する機会を得ることができた。
本報告は、訪問中に入手した資料、面談内容と関連先行文献を参考にしながら、報告者が関心を寄せている図書館情報関連の政策および制度を中心に報告する。しかし広い中国の中で北京、上海、武漢に2週間の短い期間滞在しただけで、調査は不十分である。また中国における図書館政策および図書館情報サービスについての解説的な資料は見当たらなく、散見できる各種の資料を参考にした。本報告が中国における図書館情報関連の諸事情、特に政策面での情報の蓄積および状況把握に少しでも役立つことができれば幸いである。なお、文章中には中国語原語のまま使用した語句もある。
2. 中国の図書館事情
中国における各種図書館の業務および行政体系は主に文化部、教育部などの関連の行政機構の管轄下にある。国家図書館(北京図書館)と省・市・自治区の図書館は文化部の図書館司、学校および大学図書館は教育部、工会図書館および関連文化宮図書館は全国総工会、中国科学院図書館は国家科学委員会、軍図書館は国防部などの管轄となっている。これら各図書館は基本的には中国共産党の指導下にある。
2.1 国家図書館と公共図書館
1949年10月、中国の図書館総数は392館(公共55、大学132、工会(trade Union)44、科学研究17、私立44など)であった。その後30年間で図書館事業は拡大し、1980年には公共図書館の数が1,732まで増え、84年には2,217、89年には2,512と発展した。1994年末現在、公共図書館は2,596館(国レベル1、省36、地域2,559)、蔵書3億23百万冊、職員数45,000名となっている。
1912年に設立された北京図書館は1981年7月から中国国家図書館に改称された。中国の国家代表図書館であり、全国の公共図書館を指導する図書館として、行政体系上は文化部の図書館司の管轄下にある。1982年に実施された行政改革の前までは国務院直属機構である国家文物事業管理局の管掌下にあった。
全国の8割以上の県(省の下の行政区画)に図書館があり、各市町村の文化センター(公民館)の数は53,000にのぼる。各文化センターには図書室が設置され、数百ー数万冊の図書があるが、市町村の発展に伴い、図書室も充実化してきている。特に発展が顕著な例として江蘇、遼寧、浙江、湖北省が挙げられる。また文化部は1985年から移動図書館を各省、市・自治区に150余ほど設置している。
2.2 大学図書館
1978年全国の大学図書館の数は598であったが、1980年には675に増え、蔵書も19,362万冊となった。1981年9月に教育部が全国大学図書館業務会議を開催し、「大学図書館業務条例」を制定して、教育部主管機関として大学図書館業務委員会と秘書処がつくられた。27の省・市・自治区には類似の業務組織があり、大学図書館の発展を促進している。教育部が大学および学校図書館に関する政策を樹立する。図書館の運営予算は各所属学校の支援を受ける。1994年現在、大学図書館の総数は1,080、蔵書数41,800万冊、職員数38,162人に至っている。そのうち35大学図書館が100万冊以上の蔵書をもっており、北京大学(430万冊)、四川連合大学(386万)、復旦大学(345万)、南京大学(331万)、武漢大学(278万)など15大学が200万冊以上の蔵書を所蔵している。
2.3 科学専門図書館
「中国図書館・情報機関名録大全」編集委員会の1994年調査統計によると、全国各科学研究組織は科学専門図書館を8,000-9,000館程度もっており、所蔵文献は総計訳10億6千万冊、職員88,900人、年間経費2.7億元となっている。科学専門図書館の中には企業体の図書館もある。これらは科学技術研究分野の情報を提供する専門図書館として国家科学技術委員会の指導下にある。特に所蔵文献が多い例としては:
2.3.1 中国科学院文献情報センター部門
中国科学院図書館、分院図書館、研究所図書館、情報資料室の総計は143館、蔵書数 2,921.1万冊、職員数3,000名である。そのうち、中国科学院文献情報中心(中国科学院図書館)が560万冊を所蔵し、図書が45.58万種・89.48万冊、定期刊行物が30,731種・310.68万冊、特殊文献(会議資料、科学技術報告、学位論文など)が25.71万件となっている。中国文献と外国文献の比率は1:3である。
2.3.2 中国農業科学院科学技術文献情報センター
1995年7月の統計によれば、所蔵文献は53万冊であって、そのうち外国文献は9万冊、外国雑誌は8.5万冊にのぼる。また14の省・市・自治区に系列図書館が34館あり、所蔵文献は160万冊である。
2.3.3 国防科学技術情報センター資料館
1995年の所蔵文献は230万冊で、外国の定期刊行物も500種ほどある。航空、電子、兵器など7つの部門の情報所(情報センター)を加えれば、所蔵文献は500万冊にのぼる。
2.3.4 中国医学科学院図書館
1995年の統計によれば所蔵文献50万冊、そのうち外国の文献は10万冊、外国雑誌は6,000種である。
2.3.5 全国地質図書館
1995年の統計によれば、所蔵文献40万冊、そのうち図書は82,322種・14億1,082万冊、定期刊行物は6,766種、172,995冊である。
2.4 学校図書館
1980年以来、中学・高校図書館が全国的に発展している。また中等職業技術学校図書館については、1995年に16,246館あり、利用者は750万人にのぼる。平均して各館に約7.5万冊の蔵書がある。
2.5 工会図書館
工会図書館とは職工(労働者)が政治・科学・文化の知識を学習する労働組合図書館をいう。中華全国総工会は各傘下図書館に対する政策、計画、予算活動などを決定し、各省・市・自治区の工会は各地域の工会図書館を指導する。工会図書館は公共・大学・科学図書館との相互貸借により資料の支援を受けている。最近15年の発展が顕著であって、中でも中華全国総工会図書館、北京市労働人民文化宮図書館などは蔵書が豊富である。
3. 中国図書館界の思想的基盤
文化部が1982年12月正式に公布した中国の図書館法の性格をもつ、「図書館工作条例」の第2条は省(自治区、市)図書館の主要任務6つを明示し、その第1に「マルクス・レーニン主義と毛沢東思想を宣伝し、中国共産党と政府の政策・法令を宣伝し、人民に共産主義と愛国主義教育を施行する」ことと明記している。また中国における図書館関連の学会と協会の性格をもつ中国図書館学会の中国図書館学会章程(規程)の第2条には「中国共産党の理念を根拠とし、党の[百花斉放、百家争鳴]の方針を貫徹・・・」としている。
1987年に改定された大学図書館規程である「普通高等学校図書館規程」第2条にも「大学図書館は共産党と国家の高等教育方針、政策と法令を貫徹し、マルクス・レーニン主義と毛沢東思想と人類科学文化の優れた成果を宣伝し・・・」と述べられている。
またマルクス・レーニン主義や毛沢東思想は中国の各種図書館で採択している「中国図書資料分類法」の総記にあり、北京大学図書館情報学科の教育課程の必修科目となっている。
図書館の管理の面でも、例えば上海図書館には図書館長と同地位であって、事実上の序列では上位に共産党委員会書記がおり、図書館情報学の教育においても、例えば北京大学の教授陣に党委員会の書記がいる。このように図書館サービスの目的は共産主義思想を宣伝するためであり、マルクス・レーニンおよび毛沢東思想と著作を分類の最上位におく分類体系、図書館管理運営に共産党委員会の参加などからみるとマルクス・レーニン主義や毛沢東思想は中国のあらゆる社会制度の基盤であり、中国の図書館および図書館情報サービスの思想的基盤である。さらには中国の図書館情報政策および制度の基盤であり、国家の政策目標と方向に直結している。
4. 中国の図書館行政および図書館関連法
1982年に制定された新憲法は、国家権力機関、行政機関、裁判機関、検察機関の4つの国家機構で構成されている。人民代表大会は議事機関であると同時に執行機関として最高の国家権力機関である。国務院は中央人民政府として、国家行政の最高機関である。地方人民政府は国務院の指導を受けることになっている。
1949年から1986年までの37年間、中国中央人民政府は数回の機構調整と管理体制の変革を行った。1954年に第1期全国人民代表大会が召集され、中国最初の社会主義憲法が制定された。「国務院組織法」の規程により、国務院が設立され、その傘下に64機関が設立された。1956年末には国務院所属行政機関数が81に達し、中央集中体制が強化された。1959年には20の機関が解体・統合され、所属行政機関が60に縮小された。
1960年代、経済状況の深刻化によりそれまでの分散化体制から中央集中体制に変わり、1965年には中央政府機構が79に達した。文化大革命の10年間には、国務院の機構は32と縮小され、国家の行政管理はほとんど麻痺状態となり、行政管理機能は制限されていた。1977年から機構の増設と規模の拡大が行われ、1981年には国務院の機構が100に達した。機構の大幅増設に伴って、組織が膨大な規模になり、機能と責任の分担の不明確化や官僚主義が深刻化した。1982年から中国共産党は中央行政改革を行い、国務院機構が100から61に減少、そのうち52の部門委員会は43に、直属機関は43から15、辧公(事務)機構は5から3に縮小調整された。例として、それまでの文化部、対外文化連絡委員会、国家出版事業管理局、外文出版発行事業局および国家文物事業管理局は文化部に統合されたのである。その後再び増加傾向になり、1984年には65に、1986年には72と拡大されるなど、国家行政組織の変革が繰り返された(付録 組織図参照)。
4.1 文化部
図書館情報関連に関する政策を含む文化情報政策全般を管轄する部署は文化部である。文化部の主要機能は1)中国共産党と中華人民共和国の文化芸術の基本路線、方針および政策の執行と文化芸術業務の政策の法規執行の監督、2)文化芸術発展配置研究、長短期発展計画の樹立と施行監督、3)図書文献資源の管理と利用調査研究、図書館事業の電算網構成、標準化・現代化および北京図書館(国家図書館)の管理・指導、4)付属の文化芸術機関の管理・指導、関連協会・学会その他の団体の指導・管理、5)文化芸術人材の需要予測、人材養成教育と就業の計画樹立、6)「中華人民共和国文化財保護法」の監督施行と国家文物局の管理などとなっている。
その下部組織として、文化政策および立法、文化体制改革推進などの機能を持つ政策法規司、文化芸術教育に関する政策・法規・計画の立案および執行、専門教育および生涯教育を担当する教育科技司、文化市場管理に関する政策、法規に関する法規の立案および業務指導を行う文化市場管理局と図書館政策および行政を担当する図書館司などがある(組織図参照)。図書館に関する行政は図書館司が担当し、1室(弁公(事務)室)3処(図書館処、科教処、協調処)で構成されている。その主要機能としては、
- 公共図書館事業発展計画の立案・組織および実施
- 公共図書館政策・法規関連業務の立案及び監督
- 図書館に発展に関する調査研究
- 国家図書館の管理指導、公共図書館の建設
- 図書館の古典籍の保存業務
- 図書館業務の機械化、標準化、現代化
などが挙げられる。
図1 文化部組織(1庁・9司・3局・1室/63処)
弁公庁
------------------------------------------------------------------------
政策法規司
計画財務司
人事司
科学技術司
群衆文化司
図書館司
少数民族文化司
少年児童文化司
行政司
------------------------------------------------------------------------
芸術局
文化市場管理局
対外文化連絡局
------------------------------------------------------------------------
台湾事務弁公室
図2 図書館司組織(1室3処)
弁公室
図書館司 図書館処
科技処
協調処
4.2 図書館分野関連法および規程
4.2.1 図書館事業の強化に関する文化部の指示
公共図書館の業務に関するもので1955年7月に頒布された。同指示には「公共図書館は人民に対し愛国主義と社会主義教育の文化的事業を推進する機構として、中国共産党と政府の宣伝教育事業を遂行する有力な手段」として規定し、公共図書館の主要任務について述べている。
4.2.2 図書開放問題に関する請示(指示要請)報告
1978年4月に国家文化財事業管理局が提出し、国務院が承認したもので、同報告は各図書館で図書を開放する範囲が統一されてない問題、文化大革命以前には非公開であった図書や貸出禁止の図書資料などに対し、各図書館で禁止された各種図書資料を解禁・開放する問題について5つの意見を提出した。
4.2.3 省・自治区・市図書館の工作条例
全国の図書館事業に関するもので、1978年に国家文化財事業管理局が作成した「省・自治区・市図書館事業条例」を基礎として制定された。1982年12月文化部が正式に公布しその後改定された同条例は8章30条で構成されており、各図書館の機能と役割について次のように規定している。
- マルクス・レーニン主義と毛沢東思想を宣伝し、中国共産党と政府の政策・法令を宣伝し、人民に共産主義と愛国主義教育を施行
- 当該地域の経済発展と科学研究のために図書・刊行物資料の提供
- 科学文化知識を伝播し広範囲の群衆の科学文化水準を高める
- 文化典籍と地方文献資料の収集・整理・保存
- 図書館学の理論と技術方法を研究し、当該の市・県図書館に対する業務指導の実施
- 省(自治区・市)政府関連機関の指導のもとで当該地区の各級図書館間の協力推進
4.2.4 文物保護法
1982年11月19日第5次全国人民代表大会で制定、1991年6月29日第7次全国人民代表大会で改正された8章33条で構成された法律で、文化財事業を発展させる法的根拠になると同時に文化遺産の保護に関する有力な措置である。
4.2.5 著作権法
1990年9月7日第7次全国人民大会で制定されたこの法は著作の帰属問題およびそれにより生成された権利と義務関係を規程した法律で6章56条で構成されている。
5. 中国図書館学会(China Society for Library Science)
中国図書館学会は国の財政による学術団体であると同時に専門職団体である。1995年現在、10,500人の個人会員と各省・市・自治区の館種別図書館協会、国家機関と科学研究機関図書館、大学図書館協会、など全国の各種図書館協会を網羅した団体会員で構成されている。事務局は中国国家図書館内に設置されており、管理運営は国家図書館で指揮している。現在、30人の常務理事のうち、国家図書館の副図書館長、文化部の図書館行政の最高責任者である図書館司の司長と北京大学の図書館長兼図書館情報学系主任(前)を含む5人が副理事長となっている。
1925年に中華図書館学会として組織され、1949年新中国政府樹立によりその活動が中断されたが、1978年政府の再組織認可により翌年正式に発足した。1979年創立当時の同学会の会員は29の団体(省級)会員と2,300名の個人会員であった。この学会は中国科学技術協会(China Association for Science and Technology)と文化部の指導と支援を受けることになっている。科学技術分野の学会及び協会性格をもつ中国科学技術情報学会も1964年に設立されたが、文化大革命によってその活動が中断され、1978年から再開された。現在中国図書館学会の事務局は中国国家図書館内に、科学技術情報学会は中国科学技術信息研究所内に設置されている。
5.1 主要機能および組織
1992年に改定された中国図書館学会の章程は以下の通りである。第1条、中国図書館学会は法律により設立された全国的な図書館関係者の学術団体であり、中国科学技術協会委員会(China Association for Science and Technology)の一部であると規程されている。第2条、学会は中国共産党の百花斉放、百家争鳴の方針を貫徹し、学術上の自由討論を発展させるものである。弁証唯物主義に基づく科学的態度と優良な学風である献身・創新・求実・協作の精神をもって全国の図書館関係者を団結させる。図書館事業の発展のために図書館学研究・図書館現代化の技術的普及を促進させ、経済振興のために社会主義精神文明と物質文明建設を促進させ、中国社会主義現代化実現に貢献させる。
第3条、学会の主要任務は
- 国内外の学術交流の推進、国際図書館界との連係と協力の強化
- 図書館学刊行物、専門図書資料の編集出版
- 国家科学技術発展政策、経済建設の重要政策、図書館政策の制定時の諮問
- 図書館学研究成果の紹介、普及
- 会員と図書館関係者への継続教育、図書館学基礎知識の普及、先進技術の普及、人材育・会員の意見を反映した図書館職員の合法権益(共同利益)の維持院成
同学会には全国会員代表大会、理事会、常務理事会などがある。学術研究委員会には図書館学基礎理論研究、図書館管理研究、目録学研究、図書館自動化研究など14の専門研究委員会があり、編訳(編纂翻訳)出版委員会には3つの分科委員会がある。団体会員には各省、市、自治区図書館学会、各系統図書館委員会など、全国の各種図書館を網羅して構成されている(付録 組織図参照)。
個人会員は専門職の館員(librarian)・講師(lecturer)・工程師(engineer)または同等の地位以上の者、大学の図書館学科または他専攻学科を卒業後、3年以上の図書館学の教育及び研究あるいは図書館実務に従事し、一定の研究能力と学術水準をもっている者。5年以上の図書館業務に従事し、独自の業務能力をもっている者、修士学位以上取得者または図書館学と図書館事業に重要な貢献をした者となっている。
5.2 図書館専門職の職称
中国では図書館職に関する職名として日本で使われている「司書」のかわりに「館員」という用語が使われている。1981年1月に国務院は図書館と図書館関連業務に従事する専門職員の職級と職名に関する「図書、档案(文書)、資料専業幹部業務職称暫定規程」を公布した。これは図書館に勤務する専門職の職員に対し、大学の教授職を含む他専門職と同様の身分と待遇を付与するように決めた画期的な人事規程である(表1参照)。
表1 中国の司書職および一般専門職の職称
職種/職級 1 2 3 4 5 図書館事業幹部(図書館職) 研究館員 副研究館員 館員 助理館員 管理員 高等院校教師(大学教授職) 教授 副教授 講師 助教 研究幹部 研究員 副研究員 研究員補 研究実務員 管理員 編集幹部(編集職) 編審 副編審 編輯 助理編輯 外語翻訳幹部(翻訳職) 訳審 副訳審 翻訳 助理翻訳 新聞記者(記者職) 特殊記者 高級記者 記者 助理記者 工程技術幹部(工業技術職) 高級工程師 工程師 助理工程師 技術員 統計幹部(統計職) 高級統計師 統計師 助理統計師 統計員 経済事業幹部(経済職) 高級経済師 経済師 助理経済師 経済員 会計幹部(会計職) 高級会計師 会計師 助理会計師 会計員 司書職の上級である「研究館員」は大学教員の上級である「教授」と同等の身分である。一般的に司書に対する教授職付与は大学図書館に勤務する専門職司書に教授の職位を付与し、教授と同様の給料と特典を与える制度であるが、上記の規程は専門図書館など他館種の図書館にも適用するようになっている。研究館員はprofessor, research professor, research librarian、副研究館員は associate professor, associate research librarianと呼ばれている。
6. おわりに
1949年以後、中国の図書館は図書館の4大目標である集中化(Centralization)、統一性(Unification)、拡大化(Expansion)、社会化(Socialization)に力点を置き、この目標は図書館政策および諸制度に反映されたと考えられる。文化大革命以後、中国は4つの現代化(国防・工業・農業・科学技術)で国を発展させていくことで、図書館は、1)マルクス・レーニン主義、毛沢東思想の宣伝、2)革命運動のために奉仕、3)党の基本方針を貫徹、4)図書館資料を通じて人民の科学文化水準を高める、ことを目標としている。このように図書館は教育・文化機関であると同時に国家政策実現の機能も持っている。一般的に図書館情報政策とは図書館情報に関する政策目標と政策手段に対し政府機関が公式に決定した方針や施策であり、その目的は国民の情報ニーズに応じることにある。図書館情報政策は国家政策の一環であり国家の諸政策の中で整合性があるものでなければならない。
中国の図書館政策は国家政策すなわち共産党の政策と直結しており、国民の情報要求に応じることよりも党の政策が優位にあるといえる。中国の図書館情報政策の特徴は、図書館情報政策が国家政策と密接に関連し、図書館の諸制度には共産主義政策と思想が色濃く反映され、図書館の機能および図書館情報サービスの目的はこのような国家政策を遂行することにあることである。
謝辞
北京と武漢において、中国国家図書館、北京大学図書館および信息管理系(旧図書館情報学系)、清華大学図書館、武漢大学図書館および図書情報学院などを訪問し、貴重な資料とお話を伺うことができた。特に、1996 China-US Conference for Librarianshipの議長であり、米国オハイオ大学図書館長のDr. Hwa-Wei Lee、中国国家図書館の孫倍欣副館長および金鳳吉研究館員、北京大学図書館館長林教授、図書館情報学系主任の呉教授および頼教授、武漢大学図書情報学院院長の馬教授および張副教授には貴重な助言・支援をいただき、厚くお礼を申し上げたい。恒常にご指導をいただいている学術情報センターの猪瀬博所長、井上如副所長、内藤衛亮教授に心からなる深い感謝の意を表したい。
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