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世界で初めて開発した指紋盗撮防止手法「BiometricJammer」を「CeBIT 2017」で公開/「サイバー/フィジカル境界における生体情報保護」をテーマに初出展

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)は、コンテンツ科学研究系教授 越前 功(えちぜん・いさお)の研究チームが世界で初めて開発した指紋盗撮防止手法「BiometricJammer」の視覚的違和感を軽減して利便性をさらに向上した最新の改良手法を、3月20日〜24日にドイツ・ハノーバーで開催される国際情報通信見本市「CeBIT 2017」において公開します。

デジタルカメラの高画素化により、これまで接触式の指紋センサーでしか読み取れなかった指紋情報がデジタルカメラで撮影した画像からでも復元することが可能になり、不正ログインやなりすましなどに悪用されるという危険性が指摘されています。平成26年(2014年)12月には、ドイツ連邦共和国の国防相の指を市販のデジタルカメラで離れた場所から撮影し、国防相の指紋の復元に成功したという発表がドイツでありました。

越前教授の研究チームは平成28年(2016年)10月、一般に市販されているデジタル一眼レフカメラで3mの距離から撮影した指の画像から指紋認証に必要な指紋情報の抽出が可能であることを示した上で、このような抽出を防止するために指紋盗撮防止手法「BiometricJammer」を提案しました。これは、指紋の特徴点の検出を妨害するように考えられた模様(ジャミングパターン)をステンシルシートを使って指先に転写する手法で、ジャミングパターンを装着した指先の画像から指紋情報の抽出を防ぐことができます。一方、ジャミングパターンを装着したままでも接触式の指紋センサーは正常に指紋を認識します。

今回の「CeBIT2017」に出展するのは、ジャミングパターンと装着方法を改良した最新の手法です。これまでの幾何学的なパターンの代わりに疑似指紋パターンをジャミングパターンに用いることで装着した時の視覚的な違和感を低減するとともに、転写時にベース素材の塗布を不要として、より簡便な装着を実現しました。改良手法でも従来手法と同様に、撮影された画像から指紋を認識することを不能にしながら、接触式の指紋センサーでは正常に指紋が認識されます。

BiometricJammer
〈図〉「CeBIT 2017」に出展する最新の改良手法と従来手法の比較
従来手法の幾何学的なパターン(写真左下)に代えて改良手法では疑似指紋パターン(同 左上)を使用
(写真右上と右下は指紋の特徴点抽出のために指紋を二値化した画像。いずれの画像からも指紋の認識はできない)

詳細につきましては、以下のリリースをご参照下さい。

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