Ariadne icon: Link to Ariadne Home page

Doric column and link to Issue Home Page 39号: 2004年4月 Doric column and link to Issue Home Page

Main Article

機関リポジトリをコンテンツで満たす: DAEDALUSプロジェクトから得た実践的戦略

Morag Mackie が、機関リポジトリを根付かせるために役立つ数々の戦略を述べる。

Main Contents Section Menu Email Ariadne Search Ariadne

dividing bar

(原文: Filling Institutional Repositories: Practical strategies from the DAEDALUS Project
Morag Mackie. Ariadne, Issue 39. April 2004)

はじめに

DAEDALUS [1] は、JISC FAIRプロジェクト(Focus on Access to Institutional Resources Programme)[2]の助成を受けたグラスゴー大学における3年間のプロジェクトである。 プロジェクトの第1の目的は、ピアレビューされた出版済み論文や博士論文、研究報告書などのコンテンツを保存するための機関リポジトリを構築することである。 出版物 [3]用とその他の資料[4]用に2つのリポジトリを構築している。

本稿では、グラスゴー大学で構築した機関リポジトリに既存のコンテンツを集める際に採用したいくつかの戦略の詳細について述べる。ただし、リポジトリに コンテンツをデポジットするように教員を説得する方法については、既に多く報告されているので取り上げない。ここでは、潜在的なコンテンツであり、実際にリポジトリに 加えることができそうなコンテンツを見つけるための実践的な戦略を集中して取り上げる。ここで検討する戦略の大半は、リポジトリを根付かせるために既存のコンテンツを いかに収集するかという観点によるものである。リポジトリ構築の初期段階にあっては、機関リポジトリがどのように役立つのかを関係者に立証できることが重要であり、 それはコンテンツがあってはじめて成り立つものである。教員が体系的にセルフアーカイブする、あるいは、少なくとも進行に合わせて出版情報を提供できるようなプロセスを確立する ためには別のアプローチが必要である。

本稿では、査読済みの雑誌掲載論文のみを取り上げる。なぜなら、これは、教員にコンテンツを提供するよう説得するという点で、さらに、出版社の著作権契約との 関連で、もっとも難関の分野であることが明らかだからである。雑誌論文は、オープンアクセス/学術コミュニケーションの危機に関する議論の中心にある。 プロジェクトでは、研究報告書やテクニカルレポート、その他の関連資料の収集も行っているが、これらのコンテンツをデポジットしてもらえるよう各学部を説得する際には,さほど大きな問題にはぶつからなかった。同様に、博士論文の電子デポジットについても、それが可能となるよう大学規則を変更することに時間がかかってはいるものの、その収集にあたって雑誌論文の ような困難に直面するとは考えていない。リポジトリを構築中の機関にとって、我々の経験が役立つことを願っている。

初期戦略

プロジェクトの初期段階で、できるだけ早く参画してくれる教員を取り込むことが重要であることは明らかであった。この面で最初にとった行動は、大学を代表する3つの研究分野の著名な教授に DAEDALUSプロジェクト委員会の委員になるよう依頼することであった。このことは、大学の様々な学部との関係を築くのに役立った。オープンアクセスに関心を持っていることがわかっている少数の教員にも連絡を取り、コンテンツ提供の意志を尋ねた。しかしながら、プロジェクトの最初の数ヶ月に行った主な活動は、部局研究委員会や学科委員会、 図書館委員会などの大学における様々な委員会でプレゼンテーションを行うことであった。ここでの話の中心は、教員にとっての機関リポジトリの利点と,それらの利点が教員のコンテンツにいかに役立つかについての情報であった。(全てではなかったが)多くの教員は、著作権問題については心配しているものの、プロジェクトの目的には強い共感を持っていることがすぐに 明らかになった

おおむね勇気付けられる反応ではあったが、とはいえ、実際にリポジトリにコンテンツがデポジットされるということにはならなかった。教員との話し合いの場においては、 セルフアーカイブ機能を用意してはいるが、著者の代わりにプロジェクトスタッフが喜んでコンテンツを登録すると説明した。教員自身に自分の論文の電子コピーを提供したり送付 したりしてもらうことは、たとえ彼らがそうすることを約束してくれたとしても,難しいことであるとわかった。これは、教員たちの多くは,たとえ共感したとしても、コンテンツを提供する時間 も気もないことを、我々が思い知らされた最初の出来事であった。教員は、自分の代わりに作業する許可は喜んで与えてくれたが、自分でやることはなかった。明らかに機関 リポジトリの利点はまだ十分に教員を納得させるものではなく、このプロセスにおいて積極的な役割を果たすまでに教員を説得することはできなかった。

プロジェクトの初年次に、オープンアクセスと機関リポジトリに関する大学規模のイベントを開催した。イベントは電子メールや大学広報で宣伝した。イベント後、 参加者には個別に連絡を取った。また、フォローアップ会議も開催した。これがコンテンツを生み出す良い方法であることを期待した。しかしながら、教員との対話をのきっかけを得るうえでは 役立ったものの、コンテンツの増加にはつながらなかった。

フォローアップ戦略

リポジトリサービスにおけるコンテンツの量は依然として低いままであったので、明らかに次なる戦略を練る必要があった。これまでの経験で、コンテンツの提供を主として 教員に依存していたのでは不十分であることがわかっていた。実際にリポジトリにコンテンツを得る実際的な戦略が必要であった。

教員のウェブサイト

オープンアクセス運動に共感すると予想される教員の支持を集める方法として、教員個人のウェブページの調査を行った。これにより自分のウェブサイトで出版物の フルテキストをすでに公開している教員を知ることができた。これらの教員に連絡を取り、プロジェクトの目的を説明してリポジトリでコンテンツを公開することに興味の有無を尋ねた。 連絡をとった教員のほとんどは関心を示した。出版社は個人サイトでの論文の公開は問題としないが、機関リポジトリという組織的なやりかたについてはあまり歓迎しないだろう、と 指摘する声も一部にあったが、他の教員は、個人サイトに論文を載せることが実際は許可されていないかもしれないという事実を考えたことがなかった。しかしともあれ、連絡を取った 教員の大半は、自分の出版物のうちどれがリポジトリに搭載可能であるかを我々が明らかにすることを歓迎した。

出版社の著作権契約

この戦略を採用するにあたって、我々はリポジトリに追加したい個々の論文に係る著作権契約のチェックを行った。これは骨の折れる作業であった。 出版社の著作権に関する方針をチェックするために現在利用できるまとまった資料はRoMEO(Rights Metadata for Open Archiving)プロジェクトで作成され、 現在はSHERPA(Securing a Hybrid Environment for Research Access and Preservation)プロジェクトで維持されているリストだけである[5]。このリストは非常に 役立つ資料であり日々更新されているが、全ての出版社をカバーしているわけではない。そのため、このリストにない場合、あるいは著者が自分の論文をリポジトリで公開することについての許諾の有無が 記載されていない場合は、出版社のウェブサイトで方針を探し出すか、直接出版社に問い合わせる必要があった。方針がまったく同じという出版社はなく、 また、多くの出版社は、著者がリポジトリに関連するどんな権利を有しているのかをはっきりと述べていない。これは検討した上での結果である場合もあったが、多くの場合は、 リポジトリへのデポジットにおいて自分にどんな権利があるかを著者が知りたがっているということを,出版社の側が認識していないためであった。著作権に関する 出版社の方針を解釈することもまた難しい問題である。なぜなら実際に前例も判例も存在しないからである。

著作権方針が存在しない、あるいは不明の場合は、出版社に直接連絡を取り許可を求めた。権利の管理責任者が特定できた場合は、電子メールや手紙で直接連絡を取った。 概して、出版社は電子メールによるこのような要求を喜んで受け入れることがわかった。すぐに返事をくれた出版社もあったが、返事に数週間を要したり、まったく 返事のない出版社もあった。出版社はこの問題に対する一般的な方針を示すというより、個別の論文に対して許諾を与える傾向にあった。したがって、ほとんどの論文の 許諾は基本的にケースバイケースで得なければならないのである。

雑誌からのアプローチ

リポジトリを根付かせるさらなる方法として、著作権方針でリポジトリへのデポジットを認めている雑誌および出版社を同定することにした。この作業において、SHERPA/RoMEO リストは大いに役立った。ある雑誌が対象と決まると、次に、その雑誌に投稿しているグラスゴー大学所属の著者を探し出した。この作業を行う最も簡単な方法は、雑誌名と 著者の所属分野を使って、Web of ScienceやMEDLINEなどの標準的な抄録・索引データベースを検索することであった。対象とする著者が特定できたら、すぐに連絡を取った。 我々の取ったアプローチは次のようなものであった。まず、プロジェクトの目的を、次に、ある特定の雑誌に論文を投稿している者に連絡を取っていることを、最後に、 その雑誌がリポジトリへの論文掲載を許可しているという著作権方針の概略をそれぞれ説明し、その後で論文をリポジトリに搭載する許可を求めるというものである。 許可を与えてくれるかどうかを知らせるよう著者に頼んだこともあったが、一方、オプトアウト戦略を使用したこともあった。これは、明に搭載拒否の意思表明がない場合は, 我々は作業を進め論文をリポジトリに搭載する,と著者に申し渡すものである。この戦略を採用するにはあらかじめ対象となる部局や学科の役職教員と協議を行った。 今のところ我々に連絡を取り論文の掲載を断ってきた教員は一人もいないが、それが彼らがプロジェクトを支持しているからなのか、この問題に強い関心を持っていないから なのかは不明である。個々に教員に連絡を取って返事を求めることは教員との関係を強めることにはなる。しかし、時間的余裕の欠如やリポジトリに対する関心の欠如のため、依頼に対して返事を しない教員が出てくることは避けられないだろうと思われる。

小さな事例研究として、著作権契約によると機関リポジトリへのデポジットが許可されているかどうかが疑わしい雑誌を1誌選択した。我々は、雑誌「Nature」が 2002年2月から著者に対して著作権譲渡の署名を求めることを止め、代わりに独占的使用権に署名するよう求めることを公表したことを知った。出版社のメッセージは、 以前に比べて多くの権利を著者が保持することを認めるというものであった。なぜなら、著者は「将来、自分の論文を出版物に自由に再利用することができ、出版された論文のコピーを 自分のウェブサイトに掲載する権利を有する」とあったからである[6]。この声明は、Nature著者ライセンスFAQ [7]においてさらに明確に されている。

「ライセンスでは、私はPDFを『私自身の』ウェブサイトに掲載できるとあります。この『私自身の』はどういう意味ですか。
個人サイト、あるいは、あるサイトの次のような部分を意味します。すなわち,あなたが保有するかまたはあなたが所属する機関(非営利の機関である必要がある)にあるサイトのうち、あなたやあなたの著作のために提供された部分のことです。疑問のある場合は、permissions@nature.com に御照会ください」

これは機関リポジトリを明示的に含むものではない(機関リポジトリは特定の1著者の著作のためのものではない)ので、Natureに連絡を取り、機関リポジトリへの デポジットがライセンス条項に含まれるか否かを尋ねることが有益な行動であるだろうと判断した。これを行うためにまずNatureに投稿しているグラスゴー大学の 著者を探すことから始めた(上で概略を述べた方法と同じ方法を採った)。我々は著者に個別に連絡を取り、彼らの代わりにNatureと交渉をしても良いか 尋ねた。連絡を取った22名のうち16名が返事をくれ、全員が我々が作業を進めることを快諾した。Natureから肯定的な回答を受けたことはうれしい驚きであった。 回答は、著者が大学の構成員である限り、リポジトリへの論文の追加を喜んで許可するというものであった。面白いことに、彼らは個人のウェブサイトと機関リポジトリ との間の明確な違いという問題に十分には注意を向けていなかった。そしてこのことは、彼らのこの肯定的な反応をNature Publishing Groupの出版物に広く適用できるかどうかが完全に明らかなわけではないことを意味している。

許可が与えられていることを伝えるために著者に連絡を取った。ここでも作業を進めて論文をリポジトリに追加することに何の抵抗も見られなかった。Nature論文は 興味深い実際的な問題を提起した。論文の多くは極めて短く、ページの半分にも満たないものが多かった。この場合、別の論文の一部が同じページに現れてしまう。関係のない論文の著者に許可を求めることは現実的ではないし、かといって、ページの一部を空白にすることも適当であるとは思えなかった。Natureは特に 雑誌のウェブサイトで公開されているpdfファイルを使うよう指定したので、我々は、このファイルを変更せずに使用することにした。

コンテンツ供給源としてのオープンアクセスジャーナル

オープンジャーナルに投稿しているグラスゴー大学の教員ならその論文をリポジトリで公開することに反対はしないだろうと仮定して、 BioMed Central 誌 [8]から該当する論文を特定し、関係する著者に連絡を取った。他のオープンジャーナル誌からも同じように収録対象コンテンツを特定できるとよいのだが、 今のところこれを簡単に行う方法がわかっていない。Directory of Open Access Journals [9]は大変役立つが、機関や著者の 所属で検索ができない。もしもオープンアクセスジャーナルを機関が運営している場合は、その全てのコンテンツをリポジトリに追加できる。これはリポジトリを立ち上げる際の 効果的な方法の1つである。

長期戦略

これまで述べてきた戦略はすべて、機関リポジトリをコンテンツで満たすという課題に対する比較的短期的なアプローチである。短期的には非常に有効ではあるが、このような 戦略を持続することができないことは明白である。なぜなら、これらはプロジェクトスタッフが費やす膨大な時間のわりに、得られるものがそれほど大きくないからである。 さらに、これらは既存のコンテンツに対応する戦略であり、新規コンテンツを(セルフアーカイブあるいはコンテンツ収集のための何らかの体系的な方法により)自動的に データベースに追加するシステムの確立の必要性に対して筋道を与えるものではない。明らかに,もっと広範囲にわたる戦略が必要なのである。

部局・学科の出版物データベース

戦略を成功させるためには、ほとんどの教員は、たとえ支持者であっても、リポジトリに自分自身でコンテンツをデポジットすることには気が向かないという事実を考慮にいれなければ ならない。機関か助成団体のいずれかからそうするように強制されない限り、ほとんどの教員はこうした作業をするとは思われない。同時に、これまでのアプローチよりもっと体系的にコンテンツを収集する方法を見つけることが必要だった。大学の各学部が来るべき研究評価事業(RAE)に備えて出版物情報を集めだしているという事実をうまく活かすために、 このプロセスに参加できる可能性を検討することにした。多くの学部は自らの出版物の情報を照合するためにReference Managerのような書誌作成ソフトウェアパッケージの使用を 選択した。教員はデータベースに取り込むために出版物情報を学科や部局の管理職員に提出するよう依頼されるだろうから、我々はReference Managerから出力される書誌情報を、 われわれの査読済み雑誌掲載論文用リポジトリへインポートするためのテストを開始し、詳細な書誌情報をePrints.orgソフトウェアに直接インポートできるRIS形式 (Research Information Systemで開発されたタグ付きの形式)に変換するPerlスクリプトを作成した。

このプロセスが技術的に実現可能であることがわかると、次に、この情報をデータベースからインポートさせてもらえるよう部局を説得する必要があった。数年間にわたって相当量の 出版物データベースをすでに構築していた部局もあったが、ほとんどの部局は一からスタートするところであった。これは有利であった。なぜなら、図書館に設けた部局サポートチームは多くの部局 からそのようなデータベースの作成を助けるよう求められたからである。この作業の見返りに、査読済み雑誌掲載論文を保存するリポジトリへレコードをインポートする可能性 について対話の場が持てるようになった。現在、インポートの実用性について,まず試験的に行ってみることについていくつかの部局と話し合いを続けているところである。このインポート では,リポジトリには書誌情報のみが増えることになる。そこで,私たちは,すべての著者に個別に連絡を取る必要なしに作業を前進させ、フルテキストを追加することが 許される委任状を各部局に求めている。たとえ1部局からでもそのような確約が得られたら、リポジトリのコンテンツ量に著しいインパクトを与えることになるだろう。

ここで指摘しておくべき大切なことは,部局や学科で管理されている出版物データベースを、我々は開発中のリポジトリの競争相手とは見ていない,という点である。多くの場合、これらの データベースは書誌情報だけでなく、たとえば、研究助成金などに関するデータを保存するためにも使われている。これは公開するべき情報ではない。 さらに、Reference ManagerのようなソフトウェアはOAI準拠ではないので、OAIster [10]のようなハーベスタから検索 されるのに適していない。リポジトリとデータベースの両者が互いに補完的なものになり、我々のリポジトリがデータベースの情報を公開する窓となることを期待している。

最終的には、我々は大学規模でコンテンツを体系的に追加できるワークフローを開発することを目的としている。このワークフローでは、各部局・学科がReference Managerや 同等のパッケージを使って出版物データベースをローカルに作成・管理することを基礎に置くことになる。我々は、これが次のように機能すると予想している。

検討中のワークフローではかなりの部分で処理が自動化されているとはいえ、依然としてスタッフによる入力が必要である。そのほとんどの時間は、出版社の著作権契約が論文の 入力を許可しているか否かのチェックに費やされることになるだろう。さらにまた、そのメタデータをチェックし、主題標目を追加することも必要である。このモデルにおける ,このコストの意味するところは、部局の出版物データベースから試験的にインポートを開始するプロジェクトの今後数ヶ月の間に、より明確になるに違いない。これは、 そのようなモデルが長期的に持続可能であるかどうかを決定する助けとなるだろう。しかしながら、このモデルで重要な要素は、教員が出版物情報の提供を求められるのは ただ1回きりであり、さらなる作業は要求されないという点にある。

結論

リポジトリを査読済み雑誌掲載論文で満たすことは時間のかかるプロセスである。また、リポジトリを充実するためにこれらの論文を入力することは極めて多数の スタッフを必要とする事業であることは明らかである。我々は十分な量のコンテンツをリポジトリに追加することに成功したが、提供があったにもかかわらず、出版社の著作権 契約の制約のために追加できなかった論文もまた多かった。教員が10から20の論文を提供してくれたが、このうち1つもリポジトリに追加することができなかったという例もいくつかあった。 これは、リポジトリが成功するためには高いレベルで大きな変化が生じることが必要であることを明確に示している。制約的な方針を採る出版社の雑誌には投稿しないと 決心した教員もいたが、これは依然として比較的まれなケースである。この問題について教員に教えることはできても、投稿する雑誌を指示することはできないし、するべきでもない。 オープンアクセスジャーナルやリポジトリへのデポジットを許可している雑誌に投稿することで出版物を利用可能にするように助成協議会あるいは所属する機関から要請されない限り 変化はおこりそうにない。オープンアクセスジャーナルへの投稿がRAEでの評価に悪い影響を与えないことを教員に保証する必要もあるだろう。教員は機関リポジトリの利点を理解しているにちがいないが、一方で行動を起こすよう説得できるほどには,文化の変化が未だ十分でないことは明らかである。クイーンズランド工科大学が採用した,教員は自身の研究成果を大学の e-プリントリポジトリへデポジットしなければならないという方針[11] がより広く採用されるかどうかは非常に興味深いものであろう。

より肯定的な面に関して言えば、最近多くの勇気づけられる進展があった。特に、Wellcome Trustが出したオープンアクセスを支持する声明 [12]と進行中の英国議会の 科学出版に関する調査である。こういったレベルで学術コミュニケーションプロセスが変化すれば機関リポジトリ運動の成功に大きな相違をもたらすだろう。それと同時に、オープン アクセスの問題が研究者の間で主流のニュースとなりつつあり、この問題が広く知られるようになればリポジトリの発展を後押しするに違いない。当面,ともかくその価値を示すことがリポジトリにとっては重要であり、ここで述べたような発展がこれを 助けることになることが期待される。

  1. DAEDALUS プロジェクト http://www.lib.gla.ac.uk/daedalus/index.html
  2. JISC FAIR プログラム http://www.jisc.ac.uk/index.cfm?name=programme_fair
  3. DAEDALUS ピアレビューされた出版済み資料のリポジトリ http://eprints.gla.ac.uk/
  4. DAEDALUS プレプリント、灰色文献、博士論文などのリポジトリ https://dspace.gla.ac.uk/
  5. SHERPA/RoMEO 出版社著作権方針リスト http://www.sherpa.ac.uk/romeo.php
  6. Nature 著者ニュース
    http://npg.nature.com/npg/servlet/Content?data=xml/05_news.xml&style=xml/05_news.xsl
  7. Nature 著者ライセンス FAQ
    http://npg.nature.com/npg/servlet/Content?data=xml/05_faq.xml&style=xml/05_faq.xsl
  8. BioMed Central http://www.biomedcentral.com/
  9. Directory of Open Access Journals http://www.doaj.org/
  10. OAIster http://www.oaister.org/
  11. クイーンズランド工科大学: QUTにおける研究成果e-プリントリポジトリ(方針)http://www.qut.edu.au/admin/mopp/F/F_01_03.html
  12. オープンアクセス出版を支持するWellcome Trust Position Statementhttp://www.wellcome.ac.uk/en/1/awtvispolpub.html

著者紹介

Morag Mackie
Project Manager: Advocacy (DAEDALUS)
University of Glasgow

Email: m.mackie@lib.gla.ac.uk
Web site: http://www.gla.ac.uk/daedalus

戻る

Main Contents Section Menu Email Ariadne Search Ariadne

dividing bar

Ariadne is published every three months by UKOLN. UKOLN is funded by MLA the Museums, Libraries and Archives Council, the Joint Information Systems Committee (JISC) of the Higher Education Funding Councils, as well as by project funding from the JISC and the European Union. UKOLN also receives support from the University of Bath where it is based. Material referred to on this page is copyright Ariadne/original authors.