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「学術情報センター紀要」第11号(1999年3月) 要旨

[last updated:2001/03/]
巻頭言 「研究開発と学術情報基盤の一層の発展を目指して」 [本文:日本語]
猪瀬 博 (学術情報センター所長)

1. NTCIR 日本語情報検索システム評価用テストコレクション構築プロジェクト:テストコレクションと研究室型検索実験に関する分析を踏まえて [本文:日本語]
神門 典子 (学術情報センター)
要旨 日本語情報検索システム評価用テストコレクション(NTCIR)プロジェクトの概要、特徴、基本方針などを報告する。現在に至るまでの情報検索の発展過程、主要なテストコレクションと研究室型検索実験に関する議論を踏まえて、NTCIRの基本方針を示した。現在構築中のテストコレクション1(NTICR-1)は、約33万件の文書を対象とし、半数以上は日英の対訳である。検索課題は、判定基準、検索の目的、背景知識などの詳細な検索要求説明を含む。NTCIR-1を用いたコンペティション型ワークショップの概要についても言及している。テストコレクションの構築および検索実験の今後の課題を展望した。

2. 専門用語の語彙成長に関する研究の理論的枠組みについて [本文:英語]
影浦 峡 (学術情報センター)
要旨 本稿では、「専門用語の成長」という概念を明確化し、その概念の一解釈における「専門用語の成長」の研究の可能な理論的枠組みを提案する。それにあたっては、特に、その研究が、たまたま専門用語を対象データとした何かより一般的な該当言語現象(すなわち語彙の成長)の研究ではなく、「専門用語の研究」でありうるための可能性の条件に注意を払う。これまで、専門用語研究の独立性(「専門用語学」の可能性)を保証すべく、多くの非生産的な議論が、専門用語の性質を巡ってなされてきた。専門用語研究の独立性は、「研究」としての存立構造論に関わり、実証的な存在としての研究対象には理論的に依存しないのだから、いくら専門用語の性質を議論したところで、専門用語の理論構成に関する生産的な知見が得られないのは論理的に当然である。そこで本論文では、専門用語研究を巡る権利問題(「研究」の可能性の論理的条件)と事実問題(ここでは実証的研究としての記述や予測の粒度)をまず最初に区別し、専門用語成長の研究の理論構成において、専門用語研究としての最低限の権利的位置づけを確保した上で、記述の粒度を考慮する事実問題上の枠組みを検討することにする。

3. タイトルと要旨の情報に基づくキーワードの役割分類の研究 [本文:日本語]
吉岡 真治 (学術情報センター)
要旨 論文には、解説論文、新しい技術を提案している論文、既存の技術を適切に応用した結果を報告した論文など様々なタイプの論文が有り、検索要求によって、適切なタイプの論文が異なると考えられる。よって、本研究では、様々なタイプの論文を区別するために、著者が付けたキーワードをその役割毎に分類するための方法論の提案を目標とする。そのために、本研究では、キーワードの役割はキーワードと共に用いられる動詞に強く関係すると考え、文章中における動詞とキーワードの関係の情報を用いた分類方法の提案を目標とする。本稿では、この分類方法を提案するにあたり、実際の論文のデータに基づいて、キーワードの役割を特徴づけるための動詞についての考察を行い、その結果に基づいて実際にキーワードの役割分類の実験を行ったので、それについて報告する。

4. 日本における情報政策の一側面と標準化課題 [本文:日本語]
内藤 衛亮 (学術情報センター)
要旨 N.ムーア(Nick MOORE)の提案した枠組みに基づいて、日本における情報政策のいくつかの側面についてレビューした。日本における情報政策の発展についてG7以前(Group 7)、G7以後、高度情報通信社会推進計画(1994-)に分けて論じた。一定のパターンが統制主義モデルとして政府の推進施策と民間部門の反応のあいだに見られる。日本文部省によるメディアシー推進を初等・中等教育に対する政府の施策の一例として紹介する。欧州の要求とは大きく異なり、日本およびアジア諸国において緊急に必要とされている、多言語による平等性の獲得に向けての民間部門における活動(AFSIT、MLIT)を紹介する。

5. 専門分野における複合名詞の語構成要素の品詞相当カテゴリーに関する一考察 [本文:日本語]
内山 清子 (学術情報センター), 竹内 孔一 (学術情報センター), 吉岡 真治 (学術情報センター), 影浦 峡 (学術情報センター), 小山 照夫 (学術情報センター)
要旨 専門分野における複合名詞を分析する時に、複合名詞を構成している語構成要素の情報が必要となってくる。本研究では、語構成要素の文法情報だけでどこまで複合名詞の性質を分析することができるかどうかを見きわめるために、語構成要素を文法情報である品詞相当カテゴリーに分類するための検討を行った。語構成要素においては、従来の文/単語関係で定義された品詞カテゴリーをそのまま適用することは難しい。そこで本研究では、従来の品詞カテゴリーを参照しつつ、新たに語構成用の品詞相当カテゴリーとその定義を設定することを試みた。

6. 電子的環境における学術情報と著作権制度 [本文:日本語]
名和 小太郎 (関西大学)
要旨 学術情報は制度的には著作権をもつ。ただし、研究者は学術情報を公有にすべしという理念を伝統的に共有している。したがって、学術情報の使用については、著作権の制限つまり公正使用を求める。
 学術情報の電子化は、このような在来の秩序を崩し、学術情報をプロプライエタリなものとし、その流通を市場原理にまかせようとしている。

7. Extraction of Medical Knowledge from Japanese Text [本文:英語]
Teruyoshi HISHIKI (University of Tokyo), Jun-ichi TSUJII (Graduate School of Science, University of Tokyo), Kazuhiko OHE (Graduate School of Medicine, University of Tokyo)
要旨 With the increase in knowledge-based medical computer programs, automatic extraction of medical knowledge from natural language sources would be necessary. We studied the Japanese medical resources to find out the literal and syntactic patterns where the relationship between symptoms and their relevant body parts is represented. We initially assumed that the patterns can be classified in three ways. We evaluated our hypothesis by examining the sentences in the sections for clinical manifestations of infectious diseases from Japanese electronic medical textbook. Our experiments have shown 66% recall and 92% precision by using these three patterns only. Though our method is based on a simple technique, we think that our method would be useful to acquire various knowledge from Japanese medical textbooks in the future.

8. Interactive Large-Scale Pictorial Information Retrieval System for the Internet [本文:英語]
Vuthichai AMPORNARAMVETH (Tokyo Institute of Technology), Eiji IKOMA (National Center for Science Information Systems), Akiko AIZAWA (National Center for Science Information Systems), Kinji ONO (National Center for Science Information Systems)
要旨 This paper describes development of a network-based client/server system designed to support information retrieval of high-resolution image interactively. Through an interface implemented using a JAVA applet, the system allows any Internet users with a JAVA-support browser to navigate high-resolution images in real time. User satisfaction is improved by transferring image progressively and use of image cache on both server and client sides. The system can also be customized to provide supplemental image-specific data, image configuration window, balloon help, and image map features. These features make it possible to create wide-range of large-scale image applications on top of the system.

9. Java仮想マシン上で走る簡潔な能動オブジェクト型分散処理方式 [本文:日本語]
丸山 勝巳 (学術情報センター)
要旨 従来の分散処理は、分散データベースやファイルサーバーに見られるように、非平衡な関係のClient-Server 型分散処理が主体であったが、今後は個々の実体が対等な立場で情報を交換し協力して処理を進めるpeer-to-peer (平衡)型分散処理や、広域に分散配置したシステムの監視や制御を行う広域分散制御が増える。オブジェクト指向は分散処理分野にも効果的な概念である。特に、後者のタイプの分散処理には、自前のスレッドを持ちそれでメソッドを実行する"能動オブジェクト"を導入することにより、より簡単にフレキシブルな分散システムを実現できる。本稿では、Java を活用した能動オブジェクト型の分散処理方式について具体的に述べる。

10. 自律型人型サービスロボットにおける情報モデリング ― 認知科学に基づく知識モデリング − [本文:日本語]
上野 晴樹 (学術情報センター)
要旨 本論文は、人との共生を目指す自律型人型サービスロボットHARISの実現における新しい情報モデリング、すなわち認知科学に基づく知識モデリング、を提案している。我々は、ここで提案するアプローチで実際に実験システムとして自律型人型サービスロボットHARISを研究開発し、その有効性を実験室レベルで実証した。HARISロボットは、ロボットアーム本体であるHARISアームとソフトウエアシステムであるHARISシステムから構成されている。HARISアームは、それ自身がコンピュータ制御機構を内蔵したローカルインテリジェントシステムである。これによって、自律性を実現するソフトウエアの負担は大きく軽減されている。一方、HARISシステムは、3Dビジョン、作業計画、行動計画、ロボットインタフェース、ヒューマンインタフェースおよび2つの知識ベースから構成されている。知識ベースは、環境理解および記述のためのワールドモデルと、作業計画、行動計画のためのタスクモデルである。HARISシステムの大きな特徴は、人が行っているように言葉によって環境を表現し、作業計画を立て、行動制御することである。距離の測量結果や数学的なアルゴリズムは表現レベルから隠蔽することによって、言葉の世界でロボットと人が対話できる枠組みを提案している。また、このようなシステムの開発に適したプラットフォームであるフレーム型知識工学環境ZERO++も同時に開発し、分散協調エージェントモデルとして効率良く実現するソフトウエアの枠組みを実現した。

11. ハードウエア加速に適した多視点画像からの三次元シーンの復元法 [本文:日本語]
後藤田 洋伸 (学術情報センター)
要旨 Image-based rendering(イメージに基づくレンダリング)は、複数の視点に対応する画像を組み合わせることにより、任意の視点におけるビューを生成する手法である。この手法は、三次元空間内の探索シミュレーションなどにも適用可能なため、仮想現実システム等を簡便に実現する方法として、近年注目を集めている。しかし、画像という奥行き情報の欠落したソースを基本としたものであるので、対象との距離が変動する際に、ビューに歪みが生じやすいという欠点がある。
 本稿では、多視点画像から三次元情報を復元することによって、このような歪みを解消する方法を提案する。この方法は、Voxel(ボクセル)による三次元空間情報の表現を基礎としており、ボクセル上で多視点画像のマッチングを行なうという特徴を持つ。複数の画像から三次元情報を復元する手法としては、他にもステレオマッチング法などが知られているが、膨大な計算量を要するため、実時間での処理は極めて困難である。それに対し、本稿で提案する手法では、マッチング処理などを三次元レンダリング処理専用のハードウエアを用いて高速化することができるため、より広範な応用に適用可能である。

12. Cost Estimation of User-Defined Methods in Advanced Database Systems [本文: 英語]
Jihad BOULOS (National Center for Science Information Systems), Kinji ONO (National Center for Science Information Systems)
要旨 In this paper we present a novel technique for cost estimation of user-defined methods in advanced database systems. This technique is based on multi-dimensional histograms. We explain how the system collects statistics on the method that a database user defines and adds to the system. From these statistics a multi-dimensional histogram is built. Afterwards, this histogram can be used for estimating the cost of the target method whenever this last is referenced in a query. This cost estimation is needed by the optimizer of the database system since this last needs to know the cost of a method in order to place it at its optimal position in the Query Execution Plan (QEP). We explain here how our technique works and we provide an example to better verify its functionality.

13. シェーピングされたトラヒックに適したスケジューリング方式 [本文:日本語]
計 宇生 (学術情報センター)
要旨 統合サービス網の交換ノードにおけるスケジューリングは多重化効果を得ながら、トラヒックの分離を行うために必要である。他のトラヒックからの干渉は、遅延、損失率などの通信品質を低下させる要因の一つである。一方、スケジューリングのもう一つの重要な役割は、異なる通信に資源を公平に配分することである。本論文では、新しい公平性の基準を定義し、すべての瞬間時刻において資源を公平に配分しようとする従来の公平性の基準を拡張し、ある一定の時間間隔内において、資源が公平に配分されていれば公平と見なすことにする。このような公平性に従ったスケジューリング方式は一定の制約を満足するようなトラヒックにある程度の優先度を与えることにより、バーストトラヒックの品質を上げることができると考えられる。このようなスケジューリング方式に対する性能解析およびシミュレーションの結果、最悪時の性能が従来の方式に比べて劣らない上、確率的にはより優れた性能を持っていることがわかった。

14. AutoCAD におけるオブジェクト指向型ホットスポットの実現及び性能評価 [本文:英語]
趙 偉平 (学術情報センター)
要旨 近年、AutoCAD のオブジェクト指向型データベースを利用した情報検索システムに関する研究と開発が行われているが、そのデータベースの構造に改善する余地がある。例えば、大規模データベースの検索が遅いと指摘されている。一方、オブジェクト指向を使用したプログラミングインタフェース(ObjectARX)が提供され、ユーザの要求に合わせってカスタマイズオブジェクトや検索方法を研究開発することが可能である。本稿では、画面上に再現サイズがズームによらないホットスポットというカスタムオブジェクトを開発し、また、検索情報を持つディクションナリでホットスポットの高速検索を行う方式を提案する。AutoCAD 図面にアンカー或いはマーカーとしてホットスポットを配置し、提案された方法で検索することにより、AutoCAD オブジェクト指向型データベースを使用した高速情報検索システムを構築することができる。

15. トラヒック観測によるATM通信品質の推定方法 -基本的な考え方- [本文:日本語]
阿部 俊二 (学術情報センター)
要旨 ATMネットワークの実用化が急速に進んでおり、ネットワークの容量やトポロジ等の設計ならびに運用を経済的かつ効率的に進めていくことが今後重要になると考えられる。これらの実現には、まず実運用されているネットワークが、実際にどのような品質で運用されているのかを正確に把握することが重要である。そこで、本論文では、ネットワーク上に実際に流れているトラヒックの観測から、セル多重化トラヒックを相異なる二つのセルレイトで交番発生するモデルで近似して、セル廃棄率品質を推定する方法の基本的考え方を述べると共に、本方法の実現の第一ステップとして、発生レイト分布と交番する時間分布としてどの様な分布がふさわしいかの検討を行った。各発生レイトの交番時間間隔がそれぞれ2次の超指数分布、異なる二つのセル発生としてそれぞれが2次の超指数分布と指数分布の場合に、実用的な精度でセル廃棄率を推定できることを示した。

16. 安定したルーティング環境を維持するためのルーティング情報管理システムの構築 [本文:日本語]
藤野 貴之 (学術情報センター)
要旨 近年、インターネット利用者数の増加を背景に、広域ネットワークにおいてネットワーク規模の巨大化、回線資源強化、冗長な接続構成の採用といったネットワーク資源の強化が進められている。その結果、ネットワークの接続トポロジはより複雑になり、管理するルータ数も増大した。これは、ルーティングに関する諸設定を行なう際にオペレータが考慮すべき情報の量が増えていることを意味する。加えて、大規模なネットワークは複数の管理チームによって運用されるため、管理情報の共有に失敗すると情報の行き違いによる設定情報の消失、改変といった問題が発生する可能性が高くなってきている。
 安定したネットワークの接続性を維持するためには、何らかの形でオペレータが必要とする情報を集中管理し、それを複数のオペレータ間で共有する仕組みが必要である。本稿では、安定したルーティング環境を維持するために必要な情報について論じ、それを一台のワークステーションで集中管理し、管理情報の共有を可能にするシステムの構築事例を紹介する。

17. New Trends in Distributed Information Engine [本文:英語]
Frederic ANDRES (National Center for Science Information Systems), Marielle JELADE (University of Blaise Pascal, Clermont Ferrand II, LIMOS), Kinji ONO (National Center for Science Information Systems)
要旨 Hypermedia systems are one key class of applications of modern information system. They represent a new infrastructure and environment that has been created by the integration and the use of computing, communications, and hypermedia document and media data management on a global scale. Both, the explosion in the volume and the complexity of digital information impose new features from these systems. Hypermedia systems have to tackle several important issues such as uniform data storage, interoperability, customizability and active behavior. These systems manage hypermedia documents for different application domains such electronic library, environment control or workflow system. Hypermedia documents refer to inter linked multimedia objects which can be structured or unstructured text, images, video and audio information.
 In this paper, we survey the new trends in distributed multimedia information systems in keeping with our system AHYDS, which enables to store and to retrieve an extensible set of hypermedia documents according to the requirements of the applications. Mainly, research works have addressed three evolving domains: data processing technology, the operating system capabilities (e.g. supervision, load balancing and fault tolerance), and the agent technology.

18. 情報科学研究の日米比較 [本文:日本語]
西澤 正己 (学術情報センター), 柿沼 澄男 (学術情報センター), 孫 媛 (学術情報センター), 矢野 正晴 (学術情報センター)
要旨 なぜ米国は情報技術/情報科学の多くの面で世界をリードすることができたのか。そのなぞを解き明かすことは、我が国が情報技術/情報科学において優位性を確保するための必須条件となる。そのためには、米国と日本との比較研究をすることにより、その違いを明らかにすることが重要であると考え、本稿では、人的資源、研究費、論文数等の情報科学研究を取り巻く実態を比較研究した。その結果、日米両国の情報科学研究について以下の点が明らかになった。
 (1)大学院生数及び研究者数では、日米の人口比を考慮すると、大学院生の数については日米ほぼ同じ水準にあるが、研究者の数については日本の研究者数は米国の半分以下の水準である。
 (2)研究費では、中央政府による大学への研究助成金の比較を行った。日本政府が大学へ助成している金額は、GDP比を考慮すると米国の約5分の1である。
 (3)論文数の比較では、米国Institute for Scientific Information(ISI)社が作成した文献抄録データベースScience Citation Index(SCI)を用いて分析を行った。その結果、「情報システム」、「ハードウェア/アーキテクチャー」、「理論/方法論」の分野では、日本の研究は相対的に盛んであるが、「ソフトウェア/グラフィクス/プログラミング」の分野は相対的に盛んでない。

19. 日本企業と大学の共同研究 −大学研究への依存− [本文:日本語]
柿沼 澄男 (学術情報センター), ケネス ペクター (東京大学先端科学技術研究センター)
要旨 本論文では、我が国において、産業界と大学の協力がどのくらい行われているのか、共著論文を調べることにより明らかにした。我々の調査結果によると、企業と大学との共著論文はこの15年間に大きく増大し、企業の研究開発は、大学に大きく依存していることが分かった。企業の出版する論文の内、大学の研究者との共著論文の割合は、1981年には23%であったが、1996年には46%となった。この間に、自社内の研究者のみによる論文の割合は、70%から43%へと大きく減少した。1996年には、企業と大学の研究者との共著論文が、自社内の研究者のみによる論文を初めて逆転した。このように、近年日本における企業と大学の結び付きは強まっている。

20. 公共図書館における新しい情報サービスの導入に伴う課金と利用者教育をめぐる問題 −アメリカ・カナダ公共図書館における事例調査− [本文:日本語]
野末 俊比古 (学術情報センター), 越塚 美加 (学習院女子大学)
要旨 インターネットに象徴される電子・ネットワーク情報を提供するサービスが公共図書館にも広く導入されつつある。導入に伴う問題として、料金負担の問題と利用者支援の問題に焦点を当てて、検討することとした。今回は、アメリカ、カナダの四つの図書館の状況を調査、分析した結果を報告する。

21. 美術館の情報システムの整備についての一考察 [本文:日本語]
枝川 明敬 (学術情報センター)
要旨 文化施設、中でも美術館は従来よりそれぞれの館が独立的に設置・運営されてきた。それらの交流は展示品の貸し借りが中心で、展覧会の内容を他の館に組織的に情報提供することはまれであった。しかし、最近では、先進国を中心にインターネット網を利用した美術館同士の情報システムの構築が行われ、利用者にもインターネットを利用して美術館の活動内容が広く公開されるようになった。情報伝達技術の発展により、将来建物を持たない仮想の美術館も考えられるようになってきている。

22. チームの独創性とマネジメント [本文:日本語]
児玉 文雄 (東京大学先端科学技術研究センター・学術情報センター(併任)), 矢野 正晴 (学術情報センター)
要旨 企業の研究開発チームの独創性を同僚など他人の主観的な評価により測定した。主としてその統計的分析により、個人特性とは別のチーム特性としての独創性が存在すること、およびチームの多様性もしくは異質性がチームの独創性につながることを示す。これらのことは、チームの独創性はマネジメントにより作られる、とも表現できる。また、研究所、システム開発部門、および情報処理事業部門それぞれについての分析結果から、部門の使命ないし仕事の内容が、多様性と独創性の関連を左右していることを示す。
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