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「学術情報センター紀要」第10号(1998年3月) 要旨

[last updated: 1998.5.7]

巻頭言 「学術論文のフォマット」 [本文:日本語]
清水 忠雄 (山口東京理科大学教授・付属図書館長)

1. メディアシー : 使命と方向性 [本文:日本語]
内藤 衛亮 (学術情報センター), 越塚 美加 (学術情報センター), 井上 如(学術情報センター)
要旨 「デジタル・リテラシー」をめぐる問題、課題及び共通の利害に関する枠組みを設定するために概念と文脈を展望した。デジタル化された知識へのアクセスの提供、情報リテラシーの強化などのために、初等・中等教育、高等教育、生涯教育分野で日本において実施されている政府の施策について展望する。最近の日本における最近の開発過程で認識された課題について、その共通性を先進国、発展途上国いずれとも共有すべく検討する。将来的な国際協力の可能性について検討する。

2. 「情報利用学」の構築に向けた予備的考察 : 図書館情報学における情報利用行動研究と情報利用教育研究を中心に [本文:日本語]
野末 俊比古 (学術情報センター), 越塚 美加 (学術情報センター)
要旨 情報環境の変化の中で情報利用をめぐる研究の必要性が増している。学術情報センター研究開発部では、1997年度から情報利用学研究部門が設置された。本稿では、図書館情報学における情報利用行動研究および情報利用教育研究の現状を概観し、問題点と課題を挙げ、研究領域としての「情報利用学」の確立の意義と必要性、およびそのための方向性を論じる(※本稿で述べられていることは、個人の見解であり、所属する機関、および言及した機関・組織の見解を述べたものではない。)。

3. 言語における共時性と通時性 [本文:日本語]
影浦 峡 (学術情報センター)
要旨 言語における「共時性」と「通時性」の概念の基本的な枠組みは、今世紀前半にソシュールによって示唆された。けれども、それ以来、これらの概念を巡っては、様々な解釈が与えられてきた。本稿では、それらの解釈の代表的なものを参照しつつ、具体的・技術的な言語研究を健全なかたちで進めるために必要な、「共時性」と「通時性」という概念の枠組みを、特に専門用語研究のあり方を想定しながら、整理する。

4. 情報検索システムのオンライン更新における一貫性維持方式 [本文:日本語]
大山 敬三 (学術情報センター)
要旨 情報流通のネットワーク化、グローバル化に対応するために、情報検索システムにも、サービスを中断することなくデータベースを更新して新しい情報を提供できる、オンライン更新機能が求められている。WWWのインデクスサーバ技術を適用してこれを実現しようとすると、検索結果を分割して表示する際に不整合が生ずるなど、検索集合の一貫性に問題が起こる可能性がある。また、セッションレス型のサービス形態で集合演算機能などを提供するためにも検索集合の管理方式を効率化する必要がある。本稿ではこれらの問題点を分析し、検索集合とデータベースレコードのバージョンを制御することにより解決する方法を提案している。

5. テキストの機能構造を用いた検索方式の比較 : 検索要求文の役割分析と同義語自動獲得による検索式拡張 [本文:日本語]
神門 典子 (学術情報センター)
要旨 本稿では、テキストの機能構造を表わす構成要素カテゴリを付与した小規模な実験的日本語全文データベースを用いて、各種の検索方式の比較を行なった。その過程で、日本語全文検索の索引•検索要求解析法を検討し、日本語の自然言語で記述された検索要求文からの検索式構築を自動化し、検索語の重みを個別に考慮する方式へランキング方式を改善した。その結果、本稿で提案した概念役割を用いた検索、特定のディスコース・タイプを指定した検索、これらに同義語自動獲得による検索式の拡張を組み合わせた方式は、従来の方式よりも、検索効率が平均でそれぞれ28.1%、28.9%、32.3%、31.8%向上した。データベースからの同義語獲得は、テキストの機能構造を用いることにより、処理対象を限定した効率的抽出が可能となった。テキスト構造の全文検索への意義と今後の課題についても検討した。

6. ヤクート語語彙研究 (3) 動植物名称 : ヤクート語英雄叙事詩オロンホを資料として [本文:日本語]
藤代 節 (神戸市看護大学)
要旨 東・中央シベリアを中心として、広い地域に分布するチュルク系言語ヤクート語の動物及び植物を表す語彙についての研究である。ヤクート語にはその主要な話者であるサハ(あるいはヤクート)族が今日の居住域に至るまでに辿ってきた過程が、特に語彙において反映されており、そのことがチュルク諸語の中にあって、ヤクート語が特異な言語とされる所以でもある。この言語の特異性を明らかにするため語彙の中でもセットとして扱えるものを取り上げる。既に色彩名称と方向表現に関する研究を発表したが、本稿でこれに続いて同じくセットとして動植物名称を選び、研究の対象とした。色彩名称、方向表現についてと同じくサハ族の英雄叙事詩オロンホ『クース・デビリィエ』を主な資料とし、この中に見られるヤクート語の動植物名称の整理分析を試みた。

7. 知識集約型工学の建築設計への応用 [本文:日本語]
吉岡 真治 (学術情報センター)
要旨 近年の資源の有限性に関する問題や環境問題などのために、製造業に携わる人々は、各々が作る製品をより多くの様々な観点から評価する事が求められている。これらの問題に対応するために、我々は、製品のライフサイクル(設計・生産・保守・リサイクルなど)に関連する情報や必要な知識を柔軟かつ統合的に利用可能とする知識集約型工学(Knowledge Intensive Engineering)を提案しており、その計算機上へ実現したシステムであるKnowledge Intensive Engineering Framework (KIEF)システムを作成している。本論文では、まず、知識集約型工学およびKIEFシステムについて述べる。さらに、このKIEFシステムの有効性を検討するために本システムの建築設計への応用を試みる。そのために、建築設計に関する知識をどの様に本システム上の知識として表現できるかについて考察する。最後に、現在KIEFシステム上に構築中の知識ベースについて述べ、KIEFシステムの有効性について議論する。

8. 軍の戦闘能力を左右したのは何か [本文:日本語]
山田 尚勇 (中京大学情報科学部)
要旨 本稿では、まずごく初歩的な数理的分析を通して、かつて日本の思想を風靡した精神主義の非合理性を検討し、大東亜戦争における日本の敗北の真の一因を明らかにする。その上で、そうした思想を醸し出す一端となった、日本語の表記法の問題点を検討し、この問題についてはわれわれの多くがいまだに不合理な思考の枠に囚われていることを指摘する。

9. OCR認識誤りを含む書誌情報の認識 [本文:日本語]
早川 公泉 (東京大学工学系研究科), 高須 淳宏 (学術情報センター), 安達 淳 (学術情報センター)
要旨 学術論文誌を扱う電子図書館では、書誌情報にリンクを張り、関連する文献を相互に結びつけるのが望ましい。しかし文献情報を画像データから抽出する場合、OCRの認識誤りによって書誌項目の抽出が難しい。そこで本稿では、確率的パターン解析によって、OCRを通して得られたテキストデータから、参考文献の情報を認識するための手法を提案する。提案する手法は、認識済みの書誌方法から項目の属性を推定し、確率文脈自由文法を用いてその結果を修正するものである。本稿では提案される手法が書誌情報の認識に有用であることを示す。

10. HTTPメッセージのコンテンツ変換を行う共通フィルタサーバの設計と試作 [本文:日本語]
相澤 彰子 (学術情報センター), 佐藤 豊 (電子技術総合研究所)
要旨 アプリケーションレベルでHTTPメッセージを中継するプロキシサーバは、広域ネットワーク上のHTTPを効率的に伝達するために重要な役割を果たす。また、プロキシサーバ上でのHTTPメッセージのコンテンツ変換は、HTTPによる情報流通の高度化に向けての多様な可能性を持つ。このことから本研究では、メッセージ中継時に既存のプロキシサーバと連携してコンテンツ変換を行う「共通フィルタサーバ」(Common Filter Server, CF Server)の実現に向けて、その設計および試作を行った。CFサーバの設計では、汎用のアプリケーションプロトコル中継サーバである DeleGate の利用を前提として、DeleGate が持つCFI(Common Filter Interface)と呼ばれるコンテンツ変換機能を、HTTP メッセージヘッダのテンプレートを登録したデータベースを用いて拡張した。また試作はスクリプト言語であるPerlを用いて行い、一般的なクライアントとの間で動作確認を行った。今後の課題としてCFサーバとDeleGateとの連携、CFサーバの高速化、応用面での検討があげられる。

11. HyTime構造を持つ文書管理のための応用指向アプローチ [本文:英語]
フレデリック アンドレス (学術情報センター), ジョン F. ビュフォード (マサチューセッツ大学ローウェルインタラクティブメディアグループ), 小野 欽司 (学術情報センター)
要旨 本文では、ハイパーメディア表現のようなマルチメディアのアプリケーションや次世代データベースシステムに要求されるデジタル検索システムに必要な機能であるマルチメディア配送バスについて考察している。種々のアプリケーションが異なった特性(データタイプ、データモデル、データフォーマット、I/Oデバイス)と適合する為に、ハイパーメディアデータの管理が要求される。DBMSはそのアプリケーションに左右されない効率のよいデータ記憶機能を供給する必要がある。さらにコンテンツと構造の基盤となる検索管理は最新情報検索システムよって要求される。情報検索システムとDBMSのオープン化の必要条件を満たす為に、本論文で、応用指向DBMS Phasmeの内部検索機能の実装をしている。文書表現はSGMLまたはHyTimeである。SGMLまたはHyTimeの文書はPhasme内部に記憶され、最大限のテキスト検索機能を使用しアクセスされる。このような機能は、Phasmeのプラグインとして使用され、Phasme内部に記憶される。文書の記憶管理は、ユーザーアプリケーションの検索技法から独立している。 NACSISにおいてAHYDS(アクティブ ハイパーメディア配送システム)プロジェクトの検索システムのアーキテクチュアーデザイン過程にあるプロトタイプの性能は、40GBドキュメントに対するベンチマークテストにおいて良い結果を得ている。

12. テープベース3次記憶ライブラリー上のVODデータの異なるディスクへの分配と転送方策の検討 [本文: 英語]
ジハド ブロス (学術情報センター), 小野 欽司 (学術情報センター)
要旨 ビデオ−オン−ディマンド(VOD)サーバーは、現実のものとなりつつある。これらのサーバーは、記憶及び管理すべき大量のデータを持っている。もし、ハードディスクベースの2次記憶システムだけでこの巨大な量のデータを記憶し管理するなら、システムコストは非常に高価なものとなろう。テープベース3次記憶システムは、この連続的データの記憶と管理のコストを下げる合理的な解決策になると思われる。しかし、大量の連続的データを3次記憶システムで記憶するには、いくつかの問題点がある。これらは、主にディスク上のリプレイスメントポリシー(再配置方策)で、テープ上にある連続データのかたまりの分解と配置、そしてテープからディスクへオブジェクトを実現する為の多様な要求のスケジューリングである。本論文ではこれらの問題点を扱い、シュミレーターで実験したいくつかのヒューリスティックスに基づく解決策を提案する。最初にシングルユーザー環境の為に提案されているリプレイスメントポリシーを一連のサービスストリームがあるマルチユーザー環境に拡大した。それから連続オブジェクトの為に3次記憶ドライブの異なった特質下にあるテープ上の交換とデータのかたまりの配置について異なったポリシーを検討する。最後にオブジェクトの具体化の為のスケジューリングアルゴリズムを提案する。このアルゴリズムは、パイプラインサービスでサービス限界にあるオブジェクトの全データのかたまりのディスク上での具体化を保証する。本論文では、我々の提案するアルゴリズムによるシステムの平均遅延時間の影響を測定したいくつかのシミュレーション結果についても考察する。

13. 高度なメディア配送システム設計のためのデータ交換バスとアーキテクチャ [本文:英語]
トリーデージ トラナウィカライ (東京大学大学院工学系研究科), フレデリック アンドレス (学術情報センター), 小野 欽司 (学術情報センター)
要旨 CORBAは、異種の通信環境下で、柔軟性かつ、相互運用性、再利用性、耐故障性と云う特長を備えている。しかし、現在の商業上のCORBA実装は、socketに比べると、まだ性能が低く、種々のORBの特徴も備えていない。IDL compilerやPoratable Object AdapterやInterface Repositoryなどが、その例である。

現在、性能向上や重要なエレメントを統合するために、CORBAの改良版(CORBA version2.0)がでている。その中に、Washington大学が開発したTAO(The ACE ORB)がある。TAOはreal-time processingの機能を支え、ORBミドルウェアを容易に維持して、Portabilityを増やし、さらにACE frameworkにより、codeの再利用もできる。本論文は、我々が取り組んでいるAHYDS projectの下で、TAOとmultimedia管理のPhasmeというDBMSを統合する試みを報告する。このCORBAのオブジェクト技術を使うことで、リモートオペレーションやマルチメディア情報を取ることの効果も期待できる。

14. ATM多重化装置の遅延性能の解析 [本文:英語]
趙 偉平 (学術情報センター), 浅野 正一郎 (学術情報センター)
要旨 広帯域ISDNの転送標準として、ATM技術は有効性および柔軟性を持つ。しかしその反面、ATMネットワークを設計するには、トラヒック制御のためバーストトラヒックの到着過程のモデリングやその性能解析など新しい課題が生じる。そこで、本論文では、多重化したバーストトラヒックの性能解析方法を提案している。本提案では、まず複数均質バーストソースの多重化したトラヒックを2状態MMPPでモデル化し、元トラヒックの統計特性で2-MMPPのパラメータを算出する。複数異質バーストソースの多重化したトラヒックに対して、m-状態MMPPで近似できる。m-MMPPはn(m=2^n)個の2-MMPPで構成され、各2-MMPPは単一均質ソースの重畳を表す。次に、再生理論を用いてMMPP/D/1キューの平均待ち時間の解析することによって、多重化したトラヒックの遅延性能を究明する。最後に解析結果について検討する。

15. 多重化離散時間発生バーストパケット入力待ち行列システムの再生近似による性能解析法 [本文:日本語]
阿部 俊二 (学術情報センター), 浅野 正一郎 (学術情報センター)
要旨 本論文は、ON-OFFバーストに基づくバーストパケットの多重化流を入力とする待ち行列システムの性能を再生近似により解析する手法に関係する。この解析手法の一つとして、著者の一人は、既に待ち行列システムの平均残余稼働時間R_bとパケット発生数に関する分散指数I(t)を用いて多重化トラヒックを再生近似する性能解析方法を提案した。しかし、そこで扱われたバーストパケットソースは、ON区間長及びOFF区間長が共に指数分布で、且つON区間中はポアソン分布に基づく連続時間パケット発生のみであった。本論文では、既に提案した解析手法を基本に、より多くの種類のバースト発生パターンのモデル化を念頭に置き、ON区間でのパケットがある一定の時間間隔で離散的に発生し、OFF区間長がk-アーラン分布、超指数分布に従うバーストモデルに拡張する。拡張したバーストモデルのI(t)が非常に複雑であり、tが大きい場合に膨大な計算時間が必要で実用的計算に不向きであることから、再生過程をなす'Doubly Stochastic Poisson Process'の分散指数を適用したI(t)の近似法を提案する。平均待ち時間の計算機シミュレーション結果と近似I(t)を用いた平均待ち時間の比較から本提案法の有効性を示す。

16. 解析手法によるトラヒックシェーピング機構の性能評価 [本文:英語]
計 宇生 (学術情報センター)
要旨 Traffic shaping can reduce delay and loss in the network nodes by smoothing the traffic before letting it entering the network. Rate control algorithms such as Leaky Bucket and Moving Window are proposed for traffic shaping. Although many efforts have been made to analyze the performance of Leaky Bucket as a rate control scheme, few results can be found for Moving Window-liked mechanisms. In this paper, we build a general purposed analytical model for Moving Window scheme, by dealing it as a G/D/m queueing system, give the resolution for the Poisson and batch Poisson arrival, and by showing the results obtained through analytical models for Moving Window and Leaky Bucket, and results of simulation, give comparison of the performance of these two schemes when they are used for traffic shaping.

17. FTP冗長トラフィックを削減するための探索ドメインモデル [本文:日本語]
藤野 貴之 (学術情報センター)
要旨 現在のarchie,検索エンジンといったファイル資源の検索システムは、実際的なネットワークトポロジを反映しない。そのため、時としてユーザはより遠方のanonymous ftpサーバからファイル資源を取得してしまい、結果として本来不要なはずの冗長なFTPトラフィックを発生させてしまっていた。本稿では、新たに探索ドメインという概念を提案し、それを利用することによってネットワーク的により近いanonymous ftpサーバからファイル資源を取得できるようにすることを試みる。

18. 項目反応パタンとロジスティックモデル [本文:日本語]
孫 媛 (学術情報センター)
要旨 項目反応理論における項目特性曲線として現在最も広く用いられているのは、ロジスティック関数である。項目特性曲線は当初、累積正規分布関数としてLordによって導かれたが、累積正規分布関数と近い形状をしている上に、数学的にさまざまなよい性質を持っているロジスティック関数をかわりに使うことをBirnbaumが提案したのである。本研究においては、IRTを前提とせず、項目反応パタンに基づいて直接にロジスティック・モデルを導くことを試みる。能力特性値に対して新たな定義を与え、被験者の能力と被験者・項目の相互作用を平均情報量と関係づける。これにより、項目反応理論に新たな角度から光が当てられると考える。

19. ミドルウェアを用いた大規模なWebベースアンケート調査票の開発と回答者による利用の実態 [本文:日本語]
西澤 正己 (学術情報センター)
要旨 Webサーバ・アプリケーションツールキットであるWebObjectsを用いてWebベースのアンケート調査票フォームを開発し、郵送の回答様式と合わせて大学研究者を対象として調査をおこなった。調査票が大きく回答フォームとして8ページ、39項目あったがアプリケーションの工夫によって、附帯調査を除きページごとの回答漏れはほとんどなかった。しかし、調査票の規模が大きかったためWebベースの回答率は10.2%にとどまった。また、研究分野ごとに調べたところ、Webベースでの回答率の高い分野は部レベルでは理学(13.4%)、工学(12.8%)、全体としての回答者が50名以上の分科レベルでは情報科学(23.5%)、応用物理学・工学基礎(18.9%)であった。

20. 講演「ウェブの評価」 [本文:英語/日本語]
ボイド R. コリンズ (ラトガース大学アレクサンダー図書館情報技術図書館員), 石井 奈穂子 (立命館大学総合情報センター情報管理課) 訳
要旨 本稿は文部省科学研究費補助金国際共同研究「海外における日本情報の需要と供給に関する研究」(課題番号07044017)(研究代表者:井上 如)の一環として、1997年12月8日より16日にかけて招へいした米国ニュージャージー州立ラトガース大学アレグザンダー図書館情報技術及びレファレンス図書館員であるMr. Boyd R. Collinsの講演“Rating the Web”の日本語訳である。コリンズ氏は米国図書館協会(ALA)の機関誌のひとつであるLibrary JournalにWebWatchと題して連載してきたコラムに対して、1996年度カーナーズ優秀編集賞(ベスト・レギュラー・コラム)を受賞しており、優秀なウェブ・サイトを発見し評価するために図書館員で構成する全国的な共同チームであるインフォフィルター(Infofilter)プロジェクトの創設メンバーでもあり、米国図書館協会のネットワーク情報資源評価委員会の創設メンバーである。本稿は1997年12月12日午後に学術情報センター別館会議室で開催された報告会で“Internet Flotsam and Jetsam”と題して英語で講演されたもとになった論文であり、インターネットのホームページを評価することの意義、方法、基準などについて検討し、利用者側における評価のための手がかりと、発信者側が配慮すべき事項について述べたものである。国際共同研究「海外における日本情報の需要と供給に関する研究」では、日本情報発信をめぐる問題点を検討しているが、本稿は米国における最近の問題点を明らかにしつつも、日本情報発信にとって共通する課題を提起しているものと位置づけている(内藤衛亮)。

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