研究 / Research

コンテンツ科学研究系

ユ イ
YU Yi
コンテンツ科学研究系 助教
学位:博士(情報科学)、奈良女子大学
専門分野:人間・知識メディア
研究内容:http://researchmap.jp/yiyu/
研究室WEB

サイエンスライターによる研究紹介

人々の行動に関する有益な知識のマイニング

モバイルデバイスの進歩によって、人々はいつでもどこでも大量のマルチメディアデータを手軽に生成し、共有できるようになりました。モバイルデバイスで写真を撮ってコメントをアップし、位置情報を記録して、友人たちと共有するわけです。一方では、個人ユーザーが生成するソーシャルマルチメディア情報とデータを解析することにより、個人ユーザーが興味を持つコンテンツを知ることができます。他方、さまざまなオンラインプラットフォームと情報をやりとりするユーザーが増えるにつれ、多様なデータがインターネットに蓄積されていきます。その意味ではユーザー自身がセンサーとなり、参加型センシングを形成し、社会を洞察することができます。これらのデータを解析することによって、世界中の人々の日常生活の特徴を知ることができるわけです。ここでの私の研究は、個人レベルから社会レベルまでのデータマイニングと知識発見を中心に据え、人々の日常生活に的確なサポートを提供するインテリジェントシステムとアプリケーションを創出することです。身の周りの面白いものを解析し、理解し、モデリングするアルゴリズムの開発に取り組んでいます。

場所の推論

ユーザー生成データは、ユーザーの日常生活の様々な面を含み、ユーザーの好みを示唆していると言えるでしょう。例えばイタリアンレストランに行った(チェックインした)ユーザーは「イタリア料理が好き」なのだと推察されます。さらに、多くの人はどこかの場所でオンラインにチェックインして、そこがどのような場所かを伝える写真や言葉をアップします。こうしたマルチメディアコンテンツは、ひとつの場所をさまざまな角度から表現し、参加型センシングの手段となります。新しいユーザーは、これらのマルチメディアコンテンツから、その場所の大まかなイメージをつかむことができるわけです。Flickr(フリッカー)においしそうなピザの写真をアップした東京のユーザーが名古屋でレストランを探していたら、その人の好みや他のユーザーの経験を基にして、一軒のピザレストランを薦められるでしょう。人々が訪れ滞在してみたいと思う場所を推測するうえで、このようなタイプのデータを活かし、解析することがますます重要な役割を果たすようになるのは明らかです。

提案のパーソナライゼーション

人々は日常生活の中で、何を買うのか、どこへ行くのか、どのマルチメディアコンテンツを見るのかといったあらゆる種類の選択を常に迫られていますが、実際には先験的な知識がほとんどないことも時々あるのです。こうしてユーザーに提案するスマートなモバイルサービスが求められるようになります。「スマート」とは、ユーザーを理解することを意味します。ユーザーの心身の状態を理解することです。例えば次のようなシナリオを思い描いてみてください。母親が息子たちを屋外活動に連れていき、砂浜で遊んだり海で泳いだりする小さな息子たちをビデオで撮影します。後日、母親は自分の好みの音楽を挿入して、その動画をより魅力的なものにしたいと思うでしょう。ここで私が研究しているのは、対象のあらゆる面を考慮して、的確な提案をすることです。ユーザー中心の視点から行動データを抽出するのは実に興味深く、このようなデータを有効に活用すれば、個人に合わせた提案をするのに大いに役立つはずです。この目的のために、私たちはさまざまなデータソースからユーザーの行動ログを意味概念により分類し、これをもとに、異種データを活用してユーザーの好みを評価しています。
ウェブは今や、各種の有益な知識が多様な形式で蓄積されたリポジトリです。あるテーマに関連する教材を、インターネットのさまざまなソースから配信することも可能でしょう。これらのリソースを効率的に活用するためには、異なるメディアデータを一元的な手法で整理する必要があります。さらにまた、ユーザーのレベルによって理解力も異なります。したがって、それぞれの個人ユーザーにもっとも理解しやすいマルチメディアコンテンツを提供することが重要になります。そこでユーザーの学習行動パターンの解析に基づき、個人別指導に最適な学習コンテンツとはどのようなものかを予測したいと思っています。

ソーシャルイベントの発見

ユーザー生成データは、マルチメディアの技術革新とユーザー参加が促進力となり、前例のない拡大を見せています。現実の世界では、人々はいろいろな場所を自分で直接訪れます。それと同時に、その体験をテキストや画像、動画などの形式にし、ソーシャルネットワークで共有することにも積極的です。その結果、ユーザーによって大量のソーシャルマルチメディアデータが毎日生成され、インターネットに蓄積されていきます。このようなマルチメディアデータは、ユーザーの意見を暗に伝えるだけでなく、さまざまな場所でのイベントについて多くのコメントも提供します。人々は場所のイベントの参加型センシングに関わっており、データが多いほどイベントは正確に表現されます。これらのデータは多様なイベントパターンを調査するうえできわめて有益であるだけでなく、より記述的で説明的なデータ解析によって、ソーシャルマルチメディアのデータと実際のユーザー行動との関係を示すことができるようになります。私たちは、ソーシャルメディアを可視化することでマルチメディアのイベント要約をリアルタイムで作成するシステム、EventBuilderを開発しました。私たちのチームは2015年のYahoo-Flickr Event Summarization Grand Challengeに参加し、2位になりました。

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