研究 / Research

アーキテクチャ科学研究系

対馬 かなえ
TSUSHIMA Kanae
アーキテクチャ科学研究系 助教

サイエンスライターによる研究紹介

信頼できるプログラミング環境と、楽しく実りあるプログラミング学習を求めて

高校1年の時、化学の実験で、プロセスや手順に惹かれました。その後、家にあったパソコンで、小さなプログラムを書いて動かしてみたり、改造して結果が変わるのを観察したり。このとき、「パソコンの内部で何が起こっているのだろう?」と、プロセスへの疑問を持ち、大学では情報科学を学ぶことにしました。

「型」のある世界の信頼感を求めて

大学時代のプログラミング実習で、「型」に関するエラーに何回も遭遇しました。「型」とは、プログラムで「ここの部分は数か文字列なのか」を示すもので、プログラミング言語によって取り扱いが異なります。
たとえば、2つの数「□」から「△」を引き、結果を「◯」とする、「□-△=◯」という引き算を考えてみましょう。「□」と「△」が数なら、「◯」も数です。だから「□」「△」「◯」はすべて「数の型」となります。また、整数の「1」から文字列「はる」を引く計算は定義することができません。「△」に「はる」を最初から入れられないようにして、「整数-文字列」という計算できないプログラムをあらかじめ排除したい。「型」に注目するだけで、それらは実現できます。
私は「型」のある世界の信頼性が好きです。「型」があれば、整数が入っているはずの場所から「はる」は出てこないわけですから。でも当時、プログラムで「型」のエラーをなくすためのシステムは、あるにはありましたが不十分でした。その状況を「なんとかしたい」と思って研究テーマを選びました。今も、「型エラー」のデバッグについて研究しています。

より楽しく実りあるプログラミング学習のために

以前、プログラミングを学ぶのは、プログラミングを職業にしようと思っている人々だけでした。でも今は、高校生も情報の授業でプログラミングを学んでいますし、小中学生のための、あるいは社会人のためのプログラミング教室もあります。層は広がっています。
とはいうものの、学ぶべきこと・やるべきことは、層ごとに異なります。どう教えればよいのか、どう学びやすくすればよいのか。学びを上手にサポートできるプロがいない場所で、サポートするコンピュータシステムは作れないのか。課題は次々に湧いてきますし、その解決を考えるのが楽しいです。ゲームで敵を倒すみたいに解決できれば楽しいですね。
プログラミングの面白さは、好きなもの・楽しいことを自分の手で構築できるところにあります。初心者でも「自分の作りたいものを作る」に楽しく集中できるようにして、「努力する」「面白くないけど覚えなきゃ」といったことは出来るだけ排除できれば、と考えています。基本の考え方やコンピュータの動作への理解は、将来、プログラミングを必要とする職業に就かなくても、必ず役に立ちますから。
研究を通じて、将来は日本の情報教育全体を、教える側の育成も含めて、より良くしていくことが出来ればと考えています。

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取材・構成 みわよしこ

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