イベント / EVENT

平成17年度

平成17年度 市民講座

開催概要

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※講師の職名は、講座当時のものです。

第1回 2005年7月13日(水)
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ブログ
~情報発信する人々はインターネットをどう変えるか~

武田 英明

【概要】
Webは今、単に情報をみる仕組みから、ブログに代表されるようにコミュニケーションの仕組みとして、変わりつつあります。本講演では、このようなコミュニケーションの仕組みとしてのWebの過去と現在、そして未来についてお話します。
Webはそもそも研究コミュニティにおける情報交換の仕組みとしては始まりました。その後、研究コミュニティの枠を超え、全ての人のツールとなっていきました。このことからわかるように、Webには元々コミュニティのためのツールとしての役割がありました。今多くの人々が使っているブログ、ウィキ、ソーシャルネットワーキングサービスもその役割の復活ともいえます。このような観点からこれらのツールの紹介をします。
ブログは日本では日記の発展形として位置づけられますが、単に日記を公開するのではなく、人々の間でのコミュニケーションを促進する役割があります。ウィキは誰でも自由にハイパーテキストの編集に参加できる仕組みです。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は参加者間の関係を書くことで、参加者間の情報交換を支援する仕組みとして機能します。これらはみな、コミュニティの中でのコミュニケーションを支援する仕組みであり、現在これらが人気を集めているのは、我々がコミュニティのためのWebをいかに必要としていたかの証でしょう。
さらに今後はよりコミュニティの中の絆を強くし、知識の共有や交換ができる方向へ進んでいくでしょう。その一つの試みがセマンティックWebです。セマンティックWebではメタデータを活用して、より高度な情報交換ができる仕組みを提供しようとしています。この観点からセマンティックWebの紹介をします。
第2回 2005年8月25日(木)
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言語情報処理
~コンピュータはコトバをどこまで理解できるようになるのか~

相澤 彰子

【概要】
インターネット検索でばっちりヒット。でもこんなにでてきちゃって、どうすればいいの? 新聞も辞典もブログも論文も小説も、盛りだくさんはうれしいけれど、とにかく多すぎて手に負えない、もう誰かかわりに読んで! ...というわけで、今回の市民講座では、コンピュータの「言語処理」について紹介します。コンピュータは人間の代わりに人間の書いた文章を「読む」ことができるのでしょうか? コンピュータが「読む」のは、文字コードと呼ばれる記号の列です。このような文字コードの列を「テキスト」と呼びます。本講座では、大量のテキストを高速に検索する技術から、『ここではきものをぬぐ』のようなあいまいな文の解釈まで、さまざまなレベルのテキスト処理について考えます。身体を持たない現在のコンピュータは人間のように体験を通じて言葉を学習することはできませんが、与えられた辞書や言葉の規則や用例を大量に記憶して瞬時に思い出すことができます。これを使って、より速く、より大量に、より正確に、よりわかりやすく、より柔軟に、...、テキスト処理の最先端をご覧ください。
第3回 2005年9月15日(木)
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メディア検索
~画像/映像メディアはどこまで検索できるようになるのか~

佐藤 真一

【概要】
家庭用デジタルカメラ・ビデオカメラやカメラつき携帯電話の普及、Web上の画像・映像情報の提供、ケーブルテレビ・デジタル放送・データ放送・ハードディスクレコーダなどの放送映像環境の革新などにより、個人が大量の画像・映像情報にアクセスできる時代がやってきた。こうした視覚メディアは、見ただけで多くの情報を得ることができ、かつ理解しやすい、すぐれた情報源といえる。こうした大量の画像・映像情報から、あたかもWebの検索エンジンを使うように、好きな情報を自由自在に引き出すことができれば、われわれの画像・映像の利用環境も大幅に便利になるものと考えられる。しかし、これは技術的には大変に難しい。大きな理由の一つは、われわれ人間は画像や映像を見て即座にその中身を理解することができるが、コンピューターにはこれが大変に難しいことがあげられる。それでは、どうすればいいのか。何が可能なのか。本講座では、画像や映像などの視覚メディアの検索のためにはどのような技術が必要なのか、それがなぜ困難なのかについて解説し、現在の研究の最前線では何が検討され、何が可能になってきているのかについて明らかにしたい。
第4回 2005年10月31日(月)
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クラスタコンピューティング
~パソコンはスーパーコンピュータを越えられるの~

松本 尚

【概要】
スーパーコンピュータと言えばクレイ博士が考案したベクター方式の計算機の代名詞でした。米国で考案された方式ですが、日本もこの分野での開発を精力的に進めて、ここ10年近くは日本製のベクター計算機が世界最高速のスーパーコンピュータの座を占めていました。最近まで、世界最高速の計算機システムの座を守っていた日本の地球シミュレータはベクター方式の計算機を複数組み合わせたシステムです。一方、1990年代より、半導体の高速動作の限界、開発費用の問題、発熱の問題から、単体の計算機を速くするのではなく、普通の計算機をたくさん束ねて全体で高い性能を達成しようというスカラー方式のスーパーコンピュータが登場しました。つい最近、地球シミュレータの性能を抜いた米国のブルージーンはまさにこのスカラー方式の計算機です。多くの実がなった葡萄の房(クラスタ)に例えて、スカラー方式は別名クラスタコンピューティングと呼ばれています。スカラー方式のスーパーコンピュータは中央演算装置としてパソコンのCPUを流用しています。逆に言えば、クラスタコンピューティングは複数台のパソコンを組み合わせるだけで、お手軽に実現できてしまいます。性能を高めるためには接続するパソコンの数を増やすだけでいいのです。本講座では、クラスタコンピューティングの仕組みを簡単に説明し、その利点や限界と将来展望について解説します。
第5回 2005年11月18日(金)
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エージェント
~コンピュータは人間をどこまで便利に助けられるのか~

本位田 真一

【概要】
エージェントというキーワードが世の中に出現してから久しい。その間、様々なエージェントが登場してきた。そこで、本講座では、我々の研究内容を紹介しながら、現在、エージェントがどこまで身近になってきているか、どこまで人間の生活を助けてくれるのか、そしてエージェントが拓く新たな情報社会はどのようになるのかを具体例を交えて解説する。具体例としては、コンテンツをエージェント化することで、コンテンツ自身が作成者の意図に従って挙動し、コンテンツの不正利用から自らを守る「アクティブコンテンツ」、観光地などで、地理情報に不慣れな旅行客を適切にガイドする「ヒューナビエージェント」、携帯電話から、ユーザの意図に従った検索を適切に行う「Mobeet」などを紹介する予定である。
第6回 2005年12月19日(月)
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サイバー社会
~便利になるサイバー社会が抱える危険は避けられるのか~

岡田 仁志

【概要】
インターネット空間に登場したサイバー社会は、ますます便利な空間になっていきます。しかしながら、なんでもできる便利な空間は、なにかと厄介なことに巻き込まれる危険な空間なのかもしれません。本講演では、サイバー社会が抱える危険を避けながら、その便利さを享受することはできるのか、皆さんとご一緒に考えてみたいと思います。
いまやインターネットは研究や仕事のための空間であるだけでなく、たとえば自宅に居ながらにして日本中から新鮮な食材が手に入るスーパーストアーとしての顔を持っています。そこでは、現金よりも簡単で便利な電子の支払い方法がいくつも考案されました。最近ではICカードの形をした電子マネーを使える電子のお店も増えてきました。さらには、街の中にも携帯電話をお財布代わりに使えるお店が登場するようになり、インターネット空間の中だけでなく、現実の社会にもしっかりとデジタル経済のネットワークが張り巡らされています。
サイバー社会に登場するお店は、どれも記憶力がとても良いのが特徴です。誰がどんな商品を買ったのかをコンピュータが記憶していて、消費者の好みにあわせて欲しいと思うものを代わりに見つけてきてくれます。あとは電子マネーをパソコンにタッチするだけで支払いが済んで、商品が届くのを待つばかり、とても便利ですね。一見すると良いことばかりのようですが、ちょっと怖い側面もあります。なにしろ、一人ひとりの行動を何年も先までしっかりと覚えているのですから。
そこで必要になってくるのが、パーソナルデータを別の用途には使わないという約束事と、顧客の要望に応じてパーソナルデータを上手に使いこなすサービスの最適なバランスです。そしてこれらは、新しいサービスを可能にするような技術と、それを支える法制度がコラボレートできた時にはじめて実現するのです。このほかにもインターネット空間を便利でかつ安心な場にするためのさまざまな取り組みを紹介しながら、サイバー社会のあるべき未来像を描いてみたいと思います。
第7回 2006年1月19日(木)
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本講義の配付資料および映像のWEB公開はありません。
アフォーダンス

~人間と機械の共生は、この新しいアイディアによってどのように変わるのか~

古山 宣洋

【概要】
近年、「アフォーダンス」という一般には聞き慣れないアイディアに、知覚と行為、子どもにおけるそれらの発達、リハビリテーション、身振りなども含めた広義のコミュニケーション、ロボット工学、ヒューマンインターフェースなど、身体が深く関わるさまざまな分野から関心が寄せられ、分野を超えた交流が広がりつつある。これは、もともとは米国の知覚心理学者ジェームズ・ギブソンが、環境が私たちも含めた動物に対して与える(afford)行為の可能性を指すために、affordという英語の動詞から造った造語である。平たく言えば、ある環境のもとで、私たちに何ができるかという、行為者にとっての環境の意味のことを指す。例えば、環境内にある間隙をある観察者・行為者が肩を回さずに通ることができる場合、その間隙はその観察者・行為者に対して通過することをアフォードするという。アフォーダンス理論の特色は、アフォーダンスが、推論などを介さずに、動きを越えて不変な情報によって直接的に特定されるとしているところにある。これは、外界がもつ意味を付与するのは中枢としての脳であるとする古典的かつ現在も主流の知覚と行為に関する認知理論とは大きく対立する。本講演では、以上の点について平易に解説した上で、この比較的新しいアイディアが、人間同士のコミュニケーションのみならず、人間と機械の共生に関する研究をどのように変えていくかについて、時間の許す範囲で議論する予定である。
第8回 2006年2月13日(月)
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本講義の配付資料および映像のWEB公開はありません。
量子コンピュータ

~量子はなぜ奇妙なふるまいをするのか~

根本 香絵

【概要】
「電子」を利用した現在のコンピュータに代わって、「量子」のふるまいを利用した「量子コンピュータ」を作ろうという研究が、世界中で進められています。ところでこの「量子」とは、いったいどのようなものなのでしょうか? 「量子=quantum」という名は、語源的には「量=quantity」と共通し、"どれくらいの大きさか" の基本単位を指します。そしてその性質は、21世紀初頭の私たちが当たり前と思っている物の性質や状態についての考え方をくつがえす、奇妙なリアリティに満ちています。例えば投げたコインを手のひらに受ければ、2つに1つ、裏か表に決まっている...と私たちは考えます。ところが量子は「表であり同時に裏でもある状態」で存在できるので、"量子的世界"では「コイントス」という賭けは、もはや成立しません。実はこれは「重ね合わせ状態」と呼ばれ、量子特有の性質として知られているものの一つ。──本市民講座では、このような量子の奇妙な性質のひとつひとつを体験的に解き明かし、それらをいかにコントロールして量子コンピュータを作っていくのか、最先端科学のアイデアの世界へとご案内します。
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