統計数理研究所における学術情報センター

システムの利用

統計数理研究所技術課技術第3係

清水 恵子

1.はじめに

 統計数理研究所は,1944年に文部省所轄研究所として設立されたが,その後,統計科学に関する共同研究および研究交流を促進するため,1985年に大学共同利用機関に改組転換され,現在に至っている。当研究所図書室は,統計科学に関する研究に資するため,国内外の文献資料を収集・整理し,これらを広く国内は勿論国外の研究者の利用にも供して,統計科学研究の発展に寄与することを第一の目的としている。統計科学的方法の適用を必要とする分野が益々増大しつつある点に留意しつつ,図書室の運営には,統計科学情報センターが当たり,図書・資料の収集・整理・保管・提供などの実際的業務は技術課第3係が担当している。

2.統計数理研究所図書室におけるコンピュータ活用

 当図書室が学術文献情報を管理するため,コンピュータの利用に本格的に取り組んだのは,比較的遅く1992年10月からである。それまでは,逐次刊行物のデータベースを業務用として利用していただけで,図書目録については,著者名・書名など部分的なデータベースが存在するにとどまっていた。しかし1992年度には図書管理業務の電算化をめざして,小規模図書管理システムを導入し,図書事務室と閲覧室を結ぶLANを構築した。データベース再構築からスタートし,1998年3月末,蔵書図書約23,000冊と製本雑誌約20,300冊,逐次刊行物約2,130種の書誌情報とその各号データの遡及入力を完了した。この間研究系の教官の協力も得て,図書目録データと製本雑誌と逐次刊行物の書誌情報の検索がインターネット上からも可能となった。(URL:http://www.ism.ac.jp/を参照)

3.学術情報センターシステムの利用

 当研究所では,共同利用機関への改組転換を契機に,所外への文献複写業務を開始した。複写依頼に応じて文献の所蔵図書館を調べるのにNACSIS-CAT・NACSIS-IRを利用している。最近は現物貸借依頼やデータベース検索も多くなり,NACSIS-CAT・NACSIS-IRの利用はますます増加してきている。今後,NACSIS-CATの積極的利用により,専門図書館的な立場にある当研究所の図書資料の共有化を図って行きたい。

4.今後の課題

 統計科学に関する国内唯一の独立した研究所として,また共同利用機関として,学術情報センターをはじめ他のネットワークとの連携を強め,広く学術研究に役立つデータベースを構築して行かなければならないと考えている。またNACSIS-CAT・NACSIS-ILLへの加入をはじめ,OPACの公開も検討し,さらには,インターネット上から文献複写を受け付けたり,逐次刊行物の各号データや目次情報の検索を行うなど,インターネットを介した利用者サービスをより強化し,共同利用機関としての責務の一端を果たしていきたい。


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