「グローバリズム,ディベロップメンタリズムおよび

日本研究に関する国際会議」参加報告

 学術情報センターで行っているアジア調査活動の一環として,平成9年3月20日〜22日にわたってタイのチュラロンコーン大学政治科学部(3月20〜21日)およびバンコク日本文化センター(3月22日)において開催された標記国際会議にオブザーバとして参加し,NACSIS-IR のデモンストレーションを実施する機会を得たので,その概要を報告する。

会議について

 標記国際会議は,タイ国日本研究ネットワーク,チュラロンコーン大学政治科学部および国際交流基金の共催により開催されたもので,その目的はアセアン諸国における日本研究の現状を検証し,変化する発展のパラダイムと国際環境における協力の在り方を確立するとともに,研究者の経験や意見の交換を通じて人的なネットワークを形成することにより,特に,研究教育面における協力推進の共通項目を設定することであった。会議には,アセアン諸国,すなわち,フィリピン,インドネシア,マレーシア,シンガポール,ベトナム,ラオス,タイ,アメリカ,および日本の代表的な日本研究者,その他,国際交流基金,バンコク日本文化センター,文部省、学術情報センター等の参加があった。

 会議のなかでは,地域研究あるいは文化人類学的アプローチにおける日本研究の在り方,アセアン諸国における日本研究の現状,現代日本をトータルに捉える日本研究方法論,国際交流基金の「日本研究ネットワーク計画」,および今日のグローバル化と発展(development) における日本研究の役割などについて報告があった。

 今回の会議はアセアン諸国による日本研究に関する最初の国際会議であったが,この地域における日本研究の在り方および役割について活発な意見交換が行なわれた。その結果,参加者全員がこの会議の意義を確信し,今後は日本と各国との交流だけでなく、アセアン諸国同士の交流の必要性,およびこのような国際会議を継続して開催することの必要性を認識した。そして,この会議の成果を踏まえて,より広範な参加者による国際会議がやはりタイで開催されることになった。また,今回の会議の成果は,電子的媒体や印刷体として公刊されることが決まった。

デモンストレーションについて

 3月22日の最終日にバンコク日本文化センターにおいてNACSIS-IR のデモを実施し,シンガポール,ベトナム,ラオス,フィリピン,マレーシア,タイなどの日本研究者約20名が参加した。まず,NACSIS-IR の概要と試行利用サービスについて説明し,雑誌記事索引データベース,研究者ディレクトリなどを実際に検索した。反響は頗る大きく,とくに,ベトナム,ラオス,フィリピン,マレーシアの日本研究者が強い関心を示した。

 このデモを通じて,これらの国におけるNACSIS-IR の利用環境は必ずしも整っていないために,直ちにこれら日本研究者がNACSIS-IR の利用者とはならないとしても,引き続きコンタクトをとっていく必要があること,今後の事業の国際展開において,このような国際会議開催時にNACSISのサービスを紹介することは極めて効果的であることを確信することができた。

(システム管理課)


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